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超雑多感想所。お暇なときにでもお立ち寄り下さい♪ 感想はネタバレしています。まだ読んでいない、プレイしていない方はご注意を!
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時代小説「みをつくし料理帖シリーズ」、1作目。


神田町台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる屋」。店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大阪で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大坂と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが・・・・・・。料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生!


裏表紙より


時代小説のコーナーに行ったらピックアップ&紹介されていて手に取りました。内容も「女性料理人」ということでこの時代では珍しい設定に目を惹きました。またコミックス化もされている模様。


主人公、澪の料理への姿勢や生き方。どんな辛いことがあろうとも前へ、前へと進もうとする姿が眩しい。澪の生きていく姿に元気をもらったように思う。特に表題作「八朔の雪」は涙無しには読めません。というか、表題作以降泣きっぱなしでしたが。


この澪の生い立ちも悲しい。両親を8歳の時に大雨による増水で亡くし、孤児になったところを拾われ、奉公先で驚異的な舌を見いだされ、女だてらに料理人として仕込まれるようになる。そんな中、様々な苦労を経験し、常に貧乏はしつつも、奉公先のご主人や周囲の暖かい人達に支えられて、一歩一歩 しっかりと成長していく過程が、丁寧に描かれています。


主人公の澪も素敵ですが、澪の周りに集まる優しく、そして人情溢れる人々も良い味出してます。謎のお侍、小松原さん。澪を雇ってくれた種市。母親代わり、元奉公先では女将さんだったお芳さん。心優しい医者、源斉先生。小松原さんとの会話はニヤリとさせられます。


そしてお話事に澪によって編み出されるお出汁香る料理の数々。ぴりから鰹田麩、ひんやり心太、とろとろ茶碗蒸し、ほっこり酒粕汁。この名前もいいんです。特にとろとろ茶碗蒸しがもの凄く食べたい。そして商売敵の卑劣な妨害に屈しない澪にエールを送りたい。また、料理は特に江戸と上方の食文化の違いなどが分かりやすく、面白い。


時に切なく、温かい心温まる物語。人情ものの時代小説が読みたい、好きという方にはお薦めの一冊。また、各話に出てくる料理のレシピも一番最後に載っています。いつか作って食べてみたい。




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初読み、多崎礼さん作品。“本の姫”は謳うシリーズ、第1作。


「滅日」によって大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な存在―文字。天使の遺跡を巡り、本を修繕する少年アンガスは、文字を探し回収するために、“本の姫”と旅を続けている。ある日、無法者たちから救い出した少女に、文字の気配を感じた彼は―。圧倒的な筆力と緻密な世界観を持ち、第2回C・NOVELS大賞受賞作『煌夜祭』で話題騒然の多崎礼が満を持して放つ新シリーズ、堂々開幕。



裏表紙より



本を修繕し、文字(スペル)を探し続ける少年「アンガス」と「俺」の視点で語られる。二つの物語が交互に出てくるものの読みづらいことはなく、交互の視点が気になってしまいどんどん読み進められる。特に特徴ある世界観が堪らなく面白い。


一巻なので説明的な文章が多い物の、苦になりません。「本」「歌」「文字」という設定に工夫が凝らされていて面白い。個人的にお気に入りの設定は「スタンダップ!」と本に手を当てるとその情景が浮かび、本を読むことが出来ること。これ、実際に出来たらすごく面白いなと。読んでいる文章が映像で見られるなんて素敵!


勿論、キャラクター達も魅力的。スペルを集めるちょっとヘタレだけれど芯に強い心を持つアンガスと少しツンデレが入っている「本の姫」。ならず者達から助けられた言葉を喋れず、記憶を失っているセラ。アンガスの親代わりで女傑のエイドリアン。手配書の男とそっくりな癖に超がつく程のヘタレなジョニー。オルクス族の首長(チーフ)、ローンテイル。自動人形(ドール)のアーク。保安官のエヴァグリン連盟保安官。終盤に掛けてのアンガスの姿が格好いい。ローンテイルに示す「力」。アンガスに刻まれた文字(スペル)希望。少しだけ明かされる過去。


そして、もう一つの物語。恐らく既に空から墜落した楽園での「俺」。遺伝子操作により産まれる他の兄弟99人を殺し、生まれつき心臓に欠陥を持ちながらも産まれた俺。精神感応能力が強すぎるために誰も俺を世話が出来ず、その世話係として選ばれた『理性の良心』ガブリエル。教育と養育の管理者であり、130歳を軽く超えた祖母のようなレミエル。俺を拒絶し、殺そうとする女性ウリエル。俺を悲劇の王子と称し本を綴る作家、ラジエル。操られ、心縛され殺されるツァドキエル。新しくラファエルとなったキメラ。言葉を覚える鳥、パロット。楽園から落ちた俺はどうなるのか。


二つの物語が交差し、進んでいく。たった一冊でかなりのボリューム。これで全4作なのだからどれ程物語が膨らむのか今から楽しみ。どちらの物語も良いところで終わっただけに、次巻を読むのが楽しみ。





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愛する兄の裏切り、投獄、国外追放―――――悲しき過去を持つ13歳の王女・フェンベルクはソルド王国にたどり着き、騎士見習いの少年・ロカと出会った。
親友になった2人はある日、国立蔵書館へ。
だがそこで国を揺るがすある計画を偶然耳にしてしまい、2人は命を狙われることに!
高里椎名の王道ファンタジー第2弾!

裏表紙より
 


今回はフェンと違うタイプの純粋さを持つロカが登場。
ロカが酒場でのケンカを止めようとしたところで食事中のフェンに二次被害。折角俺が止めようとしたのにというロカに対するフェンの言い分が笑える。
「ぶつかって来て、私の夕食を台無しにした」
細かく聞いていくとロカも怒る気が失せてしまう辺りが何とも言えない。
フェンとロカってかなりいいコンビだと思う。2人とも似たような所があるし、それにぼーっとしがちなフェンを護りつつ引っ張って行く距離感が良い感じ。
そして、ロカと兄であるシルフィードの兄弟も良い感じでした。


今回の舞台であるソルド王国では題名通り騎士が登場します。
軍隊はない。外交で今まで平和を保っている国。そして、外交を円滑に勧めている王を護るのが騎士の努め。王に誓いを立てるときの言葉が格好いい。


前巻でも思ったが、すごくしっかりと国の構造を書かれている。国の体制や政治、文字の文化等本当に細かい。
今回特に思ったのは国立図書館の内装。
中に入ると中庭のように普通に土がある。そして、製紙技術が遅れているため、一枚岩に文字を刻んでいる。そびえ立つ一枚岩は大きく、圧迫感がある。普通の図書館とは異なる内装によくこんなことを思いつくなと感心しました。
そしてその場所でフェンとロカは国を揺るがす計画を聞いて追われることに。逃げた先で出会うイリスの民、アシュレイに、頭目カティア。このアシュレイがまた皮肉屋で良い味出してます。今までにないタイプのキャラなのでフェンとの掛け合いが今後楽しみなところ。


物語の終盤はまさかの終わり方でした。
そんな落ちで来るとは・・・。おもしろいんだけど何だか納得がいかないような。微妙なところ。
確かに王を傀儡していた側近達は一掃されたが、もっと謎が深まった感じ。最後の最後に変な男も出てきているところですし。
ロカが怪我をしたシーンは焦りました。無事だったから良かったものの、ほとんど死亡フラグでしたよあの書き方は。ロカが生きていて良かったです。
それと謎すぎるのがサチ。今回はフェンと遭遇はしなかったけれど、何がしたいのかいまいちよく分からない。彼も大概謎の多い男です。
そして好都合とばかりに軽く利用されているフェン。わざわざ面倒事に首をつっこまなくても、と思いながらもそういう所がフェンの良い所だとは思うのだけれども、もう少し自分を大切にして欲しい。
今度はアシュレイも旅の仲間に加わり王を探しに鎖国を続けているパラクルスへ。



全部読んで思ったのは、まだ物語は軌道に乗っていない感じ。
高里さんのあとがきにもここから第一章の幕開け、とありますし。
まだまだ見えてこない物語に続きが楽しみです。





 【フェンネル大陸偽王伝】その他の感想
 第1作 「狐狼と月」 



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 フェンネル大陸偽王伝シリーズ1作目であり、私が初めて読む高里さんの本でした。
 正直、この本を買ったのは表紙の美麗さに惹かれたからでした。内容はファンタジーで『偽王伝』ってなんぞやと気になったからで。
 このタイトルも良いですよね!すごく内容が気になるタイトルですし。
 
 いざ読んでみると想像以上に暗い内容に驚きました。
 


 無実の罪で投獄され国外追放される少女フェン。船に乗せられ、罪人の証である焼きごてを押されて生死を彷徨いそれでも生き延びたフェンは人買いに売られてオークションに出される。
 フェンを買ったのは「テオ」というストライフ王国に恨みを持った男だった。
 テオはフェンに告げる。怪我を治せと。
 けれどそれは、万全の状態でフェンを殺すという意味だった――――。
 

 ここまでがかなり過酷。読んでいて結構きつかったです。 絵がこんなに可愛いのに過酷っ!と嘆きつつも続きが気になって読み続けました。
 

 サチというつかみ所のない少年との出会いや、クレインとルトとの出会い。
 世の中のことを知らなかったフェンの広がる視野。そして、テオから聞いたグールの真実。


 読み終わって見ると、フェンの行動や言動、そしてひたむきに生きようとする姿に胸が熱くなりました。
 特に印象に残ったのは、最後にクレインとルトに向かって見せたフェンの柔らかい笑み。
 初めてクレインとルトに出会ったときはまたと言われて「――――生きてたら」と返した頃と比べると特に感慨も一入でした。
 幼く、腕が立つのにどこか不安定で、悲しいことがあっても感傷的にならずドライになったり。そんな彼女が今後どんな成長を遂げるのか。
 そして、偽王伝にどのように話が繋がっていくのかすごく楽しみです。
 



    

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のんびりなので更新は遅いと思いますが、ちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。

【追記】かなり更新空いてすみません。体調不良と多忙でブログを書く気力がorz またぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします。
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