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超雑多感想所。お暇なときにでもお立ち寄り下さい♪ 感想はネタバレしています。まだ読んでいない、プレイしていない方はご注意を!
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しゃばけシリーズ第2巻。


きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり・・・。でも、こんなときこそ冴える若だんなの名推理。ちょっとトボケた妖怪たちも手下となって大活躍。ついでに手代の仁吉の意外な想い人まで発覚して、シリーズ第二弾、ますます快調。


裏表紙より引用


今作は一つの謎を追いかけていた前作「しゃばけ」と違い、全6編を含んだ短編連作集。世界観にどっぷりつかり込める長編も好きですが、いろんな味を楽しめる短編も好きです。初読の時は長編から短編集に変わっていて肩すかしを喰らった気分でしたが(笑)、読み進めるうちに短編集も好きになりました。読みやすいですし。むしろこのシリーズ、短編の方が面白いような? と感じることも多々あったり。それぞれ味のある短編が面白くて好きです。


個人的にお気に入りの話は「空のビードロ」。前巻から気になっていた一太郎の兄、松之助視点の物語。最後に自分を支え続けたビードロが若だんなと繋がり、母が亡くなってから自分を思ってくれている存在がいたことに気付いた松之助の心情を思いやるとほろり。それまでの彼の経歴を知った後では特に胸に来ました。それと「兄さん」と呼び慕う若だんなの姿勢も好きです。本当にいい兄弟。彼にはこれから幸せな人生を歩んで欲しい。


また、「仁吉の思い人」と「虹を見し事」の2作は切ない。「仁吉の思い人」では仁吉の恋!と若だんなと一緒に興味津々。そして仁吉が千年もの長い間片思いをしていることがわかり切ない。千年もの長い間想い続けられることもすごいが、そんな仁吉に負けず劣らず皮衣様が人間として転生する鈴君を待ち、探し続けられることもすごい。仁吉の想いに気付いていても関係が崩れてしまうことが分かっている皮衣様は仁吉の想いを口にはしない。どこまでもベクトルが向かい合わない2人が切なく、甘酸っぱい。


また、「虹を見し事」では仁吉と佐助がそっけなく、妖怪達が唐突に消えて寂しい若だんなの周り。けれど妖怪達がいなければ、兄達が過保護でなければあり得たIFの世界。そんな中、己自身に向き合い学び取っていく姿が切なくも清々しい。誰かの夢の中にいるのだと気づき、誰の夢かを見破った後、まさかそんな話の展開になるとは。おまきが不憫でならない。また一歩、若だんなが前に進んだように思えた一作でした。


病弱でも強くなろうとする若だんなの成長が読み終わるごとに感じられて微笑ましく読み終えました。若だんなの誠実さが好きです。身体が弱くとも心の強いからこそ魅力を感じるのだと思う。また妖怪との謎解きも一作ごとに切れが増しているような? いい男に成長してます若だんな。




【しゃばけシリーズ】感想
第1作 「しゃばけ」


【畠中恵】その他の感想
つくもがみ貸します



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しゃばけシリーズ第1巻。


江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う・・・。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。


裏表紙より引用


「つくもがみ貸します」を読んでから無性に読みたくなったので再読。大筋はぼんやり覚えていた物の、忘れていた箇所が多かったので新鮮な気持ちで読み終えました。


安定した文章力と世界観、そして魅力的な登場人物達。人間しかり、妖怪しかり。中でも若だんな・一太郎のキャラクターが良い。多少世間知らずなものの、優しく思慮深く、いい男で江戸でも有数な豪商の一人息子。一見非の打ち所のない若だんなだけれども、唯一にして最大の問題が一つ。「超虚弱体質」(笑) ひ弱で虚弱な為に決めるべき所で格好良く決められないのだけれど、そこがまた魅力の一つ。体が弱いからと病に負けるでも、身内の甘さに委ねるわけでもなく、世界や己自身に向き合おうとする姿は清々しい。しゃばけシリーズの登場人物達はどこか完璧ではない辺りが好きです。


また、改めて読み直して感じたのが、菓子屋・美春屋の栄吉の存在がいかに若だんなにとって重要な存在なのか。勿論、手代や妖怪達も大切な存在ですが。同じ年頃の気の合う友人、という事も重要だけれど、もしも栄吉と友人関係を気付いていなかったら若だんなはもっと世間知らずだったかもしれないし、何より、物事の考え方や世間一般的な物事の見方など分からなかった部分も多かったのではないかと思う。両親と手代達も世間一般について教えるだろうが、大筋は教えられても細かいところは教えられないような気がするので(特に手代達は微妙に世間一般とはずれがあるので一層)。捕物帖で発揮されるの知識も栄吉からもらった物を生かしているように思う。


全体的ににほのぼのとして、劇的な展開があるわけではなく、派手さはない。けれど起こる事件は意外と凄惨で若だんなの出生の秘密にも驚かされる。穏やかさの中に悲しみや切なさがあり、優しさや暖かさ、そして笑いがある。日本の江戸という時代の裏ににある、妖しくも引き寄せられる世界観が堪らない。後を引くおもしろさが「しゃばけシリーズ」にはあるように思う。好きだなあ、しゃばけシリーズ。




【畠中恵】その他の感想
つくもがみ貸します



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しゃばけシリーズでお馴染みの畠中恵さんによる短編集。


お江戸の片隅、お紅と清次の姉弟二人で切り盛りする小さな店「出雲屋」。鍋、釜、布団と何でも貸し出す店ですが、よそにはない奇妙な品も混じっているよう。それらは、生まれて百年を経て、つくもがみという妖怪に化した古道具。気位高く、いたずら好きでおせっかい、退屈をもてあました噂超大好きの妖たちが、貸し出された先々で拾ってくる騒動と来たら・・・・・・! ほろりと切なく、ふんわり暖かい、極上畠中ワールド、ここにあり。


裏表紙より引用


舞台は江戸時代、人情溢れる深川。そこで古道具屋兼損料屋「出雲屋」のお紅と清次の姉弟が人間サイドの主人公。彼らは、『つくもがみ』が宿った古道具達を貸し出して生計を経てている。ちなみにつくもがみとは100年の年月を経ると妖しの力を携えた物のこと。


損料屋については別の時代小説で読んだ際にその存在を知りましたが、その貸し物に「付喪神」が宿っている、という設定が面白い。また、しゃばけシリーズ同様、妖怪が登場する物の、彼らは己が「付喪神」であることを誇りに思い、同時に気位が高いので人間と会話はしません。借りた先での情報収集が物語の原動力になってはいるものの、付喪神同士の会話を清次やお紅が聞き耳を立てる、というのが基本スタンス。


その為、先々で起こる問題を解決させようと付喪神達を情報収集させようとしても人間の思うような情報を入手せず、己の知りたい情報だけを仕入れてきたりと中々気難しい。勿論、欲しい情報も持って帰ってくるのですが。その点、若旦那と手代達、周りの妖怪達と一緒に問題を解決するしゃばけシリーズとの大きな差かなと。


付喪神達はその長い生からか退屈気味で、悪戯好きかつ詮索好き。ぶつぶつと互いに話している姿は可愛らしいやら鬱陶しいやら。憎めない彼らが好きです。煙管(キセル)の五位、蝙蝠根付けの野鉄、掛け軸の月夜見(つくよみ)、姫様人形のお姫、櫛のうさぎなど付喪神達もバラエティーに富んだメンバー達がそろっていて面白い。


一方、人間サイドである清次とお紅の2人の男女の機微がとても上手く描かれていて読み応えがあります。共に店を営んでいて、清次はお紅を「姉さん」と呼ぶが彼らは本当の姉弟ではなく・・・・・・。清次はお紅を好いているけれど、お紅の中にはずっと前から忘れられない人がいて。謎解きをしながら見えてくる3人の人間模様に最後の最後までやきもきさせられました。最後にはこういう展開か、いや、そうこなくては!と納得&したり顔。まあ、もう少しお紅の心変わりが見え隠れしていたらより嬉しかったかな。


また、しゃばけシリーズでお馴染みのお和尚さんやお札の事が出て来ていたりと同じ世界観だということが分かり、それも楽しめた理由の一つ。最後の最後まで世界観を楽しみながらさくさく読めました。出雲屋の日々はずっと賑やかに続くんだろうな、と幸せな読了感でした。




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のんびりなので更新は遅いと思いますが、ちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。

【追記】かなり更新空いてすみません。体調不良と多忙でブログを書く気力がorz またぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします。
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