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高田郁さんデビュー作。


「不義密通を犯した妻の血を引く娘に、なにとぞ善き名前を与えてくださらぬか」幼いお艶と共に妻敵討ちの旅に出て六年、江戸近郊で無念の死を遂げた矢萩源九郎が寺の住職に遺した言葉である。しかし、源九郎の骸と魂は三昧聖によって清められ、安らかに浄土へ旅立つ。「艶」から仏縁の「縁」と改名した少女が美しく成長する姿を、透明感溢れる筆致で描く感動の時代小説。


裏表紙より引用


みをつくし料理帖でお馴染み(?)の高田郁さんのデビュー作。みをつくし~の方がかなり好みの時代小説だったので、デビュー作も読んでみようと購入しました。


みをつくし~の前身だけあって、所々に高田さん節が見え隠れ。本当に、高田さんが書く物語は温かくも切なく、人情がある。今作も浸らせてもらいました。また、元は漫画原作者さんなんですね。


表題作「出世花」は「第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞」を受賞した物で、その後続く連作は書き下ろし。印象としては表題作も好きですが、少し文章が硬いと感じ、2作目以降はすごく読みやすかっただけに納得。内容は人が亡くなった時に行う『湯灌(ゆかん)』。元々は漫画の取材のために行ったそうなのですが、そのネタを題材に持ってくる辺りがすごい。題材は重く悲しい物だけれど、関わる人達の温かさに最後は良い読後感。


主人公である「艶」から仏縁の「縁」と名を改め、生きていく姿に「みをつくし」の澪が重なる。特に親しい人達が「縁坊」と呼ぶので感慨も一入。縁も澪も真っ直ぐに己の信念を貫きながら生きていく姿が眩しい。当時、お寺の縁の様な人達は屍洗いと蔑まれていたけれど、縁が洗い清めていく姿は何か神聖なものを感じる。丁寧に心を尽くして身を清め、逝く人のみならず、送る側の人達ですら掬い上げる。この辺りの描写が本当に丁寧に精密に描かれていて読んでいてその情景が目に浮かぶようでした。


個人的に一番好きな話は「落合螢」と「見送り坂暮色」。縁の生い立ち、性格、またいる場所から恋話は入らないと思っていただけに「落合螢」は衝撃的でした。切なくも悲しい最後に胸が抉られるようでした。本当、岩吉さん、あなたって人はっ・・・・・・・! 「見送り坂暮色」では坊主である正念さんの生い立ちから物語として読みたくなりました。親子の情とはかくも切なく、温かいものなのか。本当にいい読了感でした。また、所々に入るミステリー要素にも楽しんで読み進めました。


やばいなあ、本当に高田さんはまったぞ。「銀二貫」の方もすでに文庫化しているので今度買いに行こう。




[高田郁]その他感想

【みをつくし料理帖シリーズ】その他の感想
第1作 「みをつくし料理帖 (1) 八朔の雪」
第2作 「みをつくし料理帖 (2) 花散らしの雨」
第3作 「みをつくし料理帖 (3) 想い雲」



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のんびりなので更新は遅いと思いますが、ちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。

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