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超雑多感想所。お暇なときにでもお立ち寄り下さい♪ 感想はネタバレしています。まだ読んでいない、プレイしていない方はご注意を!
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大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す・・・・・・。


裏表紙より引用


高田郁さんの本は「みをつくし~」からはまって2011/06/04現在既刊分は全部読んでいたので、この銀二貫を読めば高田郁さんコンプリート。しかし、主人公が男性だったので読もうとするまでに時間がかかりました。高田郁さんの本は今まで読んできたのがすべて女性が主人公だったので。


閑話休題。


もう一つの短編集、『出世花』とは異なり、上方の寒天を商う商家が舞台の人情話。大阪天満宮に寄進するはずだった銀二貫で仇討ちを和助から買われ、命を救われた少年・鶴之輔改め松吉。恩を返すべく働くも、町を度々襲う火災が家を人を町を焼き尽くしていく。多くの災難に翻弄されながらも自身の足でしっかりと立って生きていく松吉と、周囲を取り巻く人々の温かい心がじんわりと胸にくる。


糸寒天を作り、練り羊羹を作ろう奔放する松吉と幼馴染・真帆との恋物語は長く険しいものの、最後に結ばれた様には目に涙が浮かぶ。初め出会ったときの話を最後に絡めたのもまたいい。そして、様々な困難を乗り越えついに念願の大阪天満宮に「銀二貫」を納めた場面は感無量。


タイトルにもなっている「銀二貫」。調べてみると、金に換算すると30両以上あり、米価から計算した金1両の価値は、江戸時代の各時期において差がみられ、おおよそ初期で10万円、中~後期で3~5万円、幕末頃には3~4千円とのこと。当時、食費はかなり安く、そば代16文(400円)くらいなので、商家、しかも寒天問屋が銀二貫も貯めると考えると、どれほど高価な金額かがわかる。(この値段は日本銀行金融研究所貨幣博物館より引用しています)


また、寒天問屋の主・和助や番頭・善次郎の商いの筋の通し方が粋。目前の利益よりも信頼やプライドを大切にし、利益のためだけではなく、目に見えない神仏感謝の気持を持つ心意気やお得意様への筋の通し方が読んでいて清々しい。今の経済では考えられない商いの仕方だが、かつての日本ではこの考え方が主流だったのだろうと考えると、感慨深い。


また、寒天に対する描写がリアルですごくたくさん調べたのだろうと思ったのだが解説を読んで納得。高田郁さんの本を書く姿勢に澪を感じた。ますます高田郁さんワールドに惚れ込みました。




[高田郁]その他感想
出世花


【みをつくし料理帖シリーズ】その他の感想
第1作 「みをつくし料理帖 (1) 八朔の雪」
第2作 「みをつくし料理帖 (2) 花散らしの雨」
第3作 「みをつくし料理帖 (3) 想い雲」
第4作 「みをつくし料理帖 (4) 今朝の春」
第5作 「みをつくし料理帖 (5) 小夜しぐれ」


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のんびりなので更新は遅いと思いますが、ちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。

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