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超雑多感想所。お暇なときにでもお立ち寄り下さい♪ 感想はネタバレしています。まだ読んでいない、プレイしていない方はご注意を!
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荻原規子さん、デビュー作・勾玉三部作、第1巻!


輝(かぐ)の大御神の双子の御子と闇(くら)の氏族とが烈しく争う戦乱の世に、闇の巫女姫と生まれながら、光を愛する少女狭也(さや)。輝の宮の神殿に縛められ、地底の女神の夢を見ていた、“大蛇の剣”の主、稚羽矢(ちはや)との出会いが、狭也を不思議な運命へと導く・・・。神々が地上を歩いていた古代の日本“豊葦原”を舞台に絢爛豪華に織り上げられた、日本のファンタジー最大の話題作、待望の文庫化!


裏表紙より引用


文庫化を待って幾年。3ヶ月連続で勾玉三部作が文庫化し、発売され、読むのを今か今かと楽しみにしていたらこんなに日にちが空いてしまった(笑) 以前書いた記事にも書きましたが、荻原規子さんの本は「空色勾玉」が初めて。その分思い入れも一入の一冊。それにしてもこの作品がデビュー作とは知りませんでした。凄すぎます。


閑話休題。


物語は豊葦原を創造した神が人の世に降り立ち、治めていた時代。闇の一族・水の乙女でありながら輝の一族に憧れる「狭也」と輝の一族でありながら黄泉の扉を探し、闇の神に会おうとする「稚羽矢」。そんな2人が豊葦原の地でどう生きていくか手探りながら模索する物語。


様々な困難を乗り越えながら絆を築きあげていく2人。自分の立場に戸惑い、苦悩しながら、けれど水の本流の如く一度流れると始めると止まることのない狭也。そして狭也と出会うまで、「ひとり」でいる意味さえも知らなかった稚羽矢。


そんな彼が狭也を想うときの純粋な感情があまりにも真っ直ぐで眩しい。狭也を追って黄泉まで行く場面には鳥肌が立ちました。けれど、最後に祝言の意味すら知らない稚羽矢が稚羽矢らしくて想わず笑ってしまう。


人と神との垣根を越え、様々な思いが交錯し、入り交じり、紡がれていく物語は雄大で壮大。匂い立つような自然の風景描写が物語の視野を広げているように思います。登場人物達は個性的だけれども、活き活きと躍動感を持って生きているわけではない。けれど、日々の暮らしの描写が目に浮かぶ。


重厚ながら日本的で、女性的な柔らかさ清らかさを併せ持つ文章は読み応えがあります。「日本書紀」や「古事記」をモチーフとした和製ファンタジーを読んでみたい方にはお薦めの一冊。




【荻原規子】その他感想

【RDGシリーズ】感想
第1作 「RDG レッドデータガール はじめてのお使い」



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守り人シリーズ、第1巻。


老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。


裏表紙より引用


大好きな守り人シリーズ。久々に再読。もう何度読んだか分からないくらい再読しています。しかし本当に久しぶりに読んだ為新鮮に読み終えました。精霊の守り人を読みたくなるとアニメの方をよく見ていたりしていた為、アニメと原作の違いを見つけながらというのも面白かった。


女用心棒という職に就いている主人公・バルサが本当に格好いい。これ程の強さと冷静さを兼ね備えるには30代という年齢にも納得。また、戦闘シーンのキレの良さが堪らない。短槍を自在に操り無駄のない、思い切りのある動きが目に浮かぶよう。


また、バルサの脇を固める登場人物達も人間味があり、リアルでいい。今回精霊の守り人として選ばれた王子「チャグム」、幼馴染みで薬師の「タンダ」、そしてヤクーの呪術師「トロガイ」。特にチャグムは「旅人シリーズ」の主人公としても登場する、もう一人の主人公。自分の運命を呪いながらも現実として受け止め、悩み、苦しみながらも地に足を付けて歩み出し成長する姿は読んでいて清々しい。最後、バルサとの別れのシーンは何度読んでも目が潤みます。


そして、幼馴染みのタンダ。このタンダとバルサの信頼し合い、つかず離れずな関係がいい。中々地に足を付けないバルサを癒し、見守る姿はまるで武人の妻(笑) 確かアニメの方にもこういう台詞があったような気がする。タンダとバルサの関係って本当に性役割の逆転のような印象。けれど、女々しいわけではなく、時折苦言を呈す辺りが良い味出てます。


濃厚で厚みのある世界観と民族や文化、政治体制や風土、気候なんかが精密に描かれているので、本当に何処かに存在しているように描かれているのがまたいい。しかも詳細にこてっと書かれているわけではなく、話の中に混ぜて書かれていて読みやすい。恩田陸さんの解説にもあった通り、まさに「私たちは、母国語で読める、しかも私たちが読むべきファンタジーにやっと巡りあったのだ」その通りだと思います。児童書ですが、大人も楽しめるファンタジー。




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第61魔法分隊シリーズ、第1巻。


王都から異動により、のどかな田舎町へやって来た一等契法士ロギューネ。町の治安を守る61分隊に副隊長として着任する彼を待っていたのは、つかみどころのない隊長ニルスをはじめ、性格が正反対のシュナーナとデリエル姉妹、謎の生物を肩に乗せたキキノといった奇妙な面々。そして、穏やかな町での一見、退屈な勤務だった。しかし、その背後では、王室と議会の『凍土緑地化計画』が着々と進みつつあった。やがてくる町の破局。そして、それぞれの過去と、町に隠された秘密が、明らかになっていく・・・。


カバーそでより引用


初読み伊都工平さん。風邪を引いて寝込んでいるときに食糧と薬と共に暇だろうし読む?と貸された作品だったり。貸してくれた友人に感謝。


技術の発達により魔法が不必要になりつつある世界を舞台に第61魔法分隊の活躍を描くヒロイックファンタジー。初めは明るいコメディ調かと思ったのですが・・・・・・。


ファンタジーで魔法ものですが、1巻の段階では大がかりな魔法は登場せず、魔法の使い方がSFものっぽい印象。また、「魔法分隊」といっても既に国家としては必要としておらず、軍隊ではなく、各地に設置された「警察」の意味合いが強い。なので、分隊が刑事のような印象。


それと、魔法の使い方が独特で魔法戦での戦い方が面白い。力の使い方が圧倒的ではない辺りも結構好み。ただ、少し説明不足なせいか自分で想像して補うしかない辺りがちょっと辛い。雰囲気だけでも楽しめてはいる物の、魔法杖の構造がいまいちしっくり来ず分からない。カリス教団が今後どう絡んでくるのかも気になるところだし、その辺りを含めて今後の展開が楽しみ。


ただ、まだ1巻なのでちょっと急ぎすぎな印象と説明不足がちらほら。「凍土緑地化計画」という語録が出ている割にその土地についての説明がなかったのであれ?と思ったり。最後にどんでん返しでいろんな事が判明するのですが、どんでん返しというよりも唐突に現れた印象が強かった。1巻売れたら続巻、とかだったのかな。2巻以降はもう少し展開をかみ砕いて欲しい。(既に完結している作品ですが 苦笑)


登場人物達もそれぞれ味があって好きですが、シュナーナとデリエルの確執が今後埋まるのか気になる所。それにしても、第61魔法分隊にデリエルたった一人だけ残して大丈夫なのかと少し心配。果たして今後どうなるのか。次巻が楽しみ。




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初読み、太田忠司さん。


名古屋に暮らす高校生・甘栗晃は、突然亡くなった父親の代わりに、探偵の仕事をすることに。依頼は、ナマイキな小学生・淑子(としこ)の母親探し。―美枝子(みえこ)は鍵の中に? 謎めいたこの一言だけを手がかりに、調査を始めた晃は、初めての「出張」で、大都会・東京へ。慣れない街に四苦八苦しつつ、謎を解こうと必死の晃だが、衝撃の事実を知り!? 太田忠司が贈る、とびきりの青春ミステリ!!


裏表紙より引用


タイトルとミギーさんの絵に惹かれてジャケ買い。タイトルが「甘栗と金貨とエルム」とまるでファンタジーのような印象がありますが、ジャンルは青春ミステリー。


初めは主人公・甘栗君の口調が堅苦しくて慣れるまで少しかかりましたが、友人である直哉が登場し、甘栗君の周りの環境や人柄が見え始めてからは徐々に物語に引き込まれた。ペースを掴めれば一気に読了。


小さな女の子・淑子(としこ)の母親探しという依頼を受けていた父親が亡くなり、急遽代理で探偵稼業を引き継ぐこととなった甘栗君。甘栗君は年齢の割に落ち着いているものの、背伸びをしている表現も描かれているのがちょっと笑えたり。ちょっとひねくれ者ですが一本芯があるのも好印象。


謎解きは手がかりを見つけつつ、少しずつ確実に父の跡を継いでいっている辺り、何だかんだ言っている割には甘栗君お人好しだなとにやにや。派手さや圧倒的なものはないものの、最後には驚く展開が。読了感も良かったです。次第に探偵としての素質に磨きがかかり始める辺り、続巻に期待。どちらかといえばミステリー要素よりも青春部分を楽しんで読み込んだ。


物語のテンポも良く、関わっていく事柄によって変化し始める甘栗君の心変わりもいい。直哉や三ケ日(みつかび)の高校生達が今後どう動き始めるのか気になるところだし、エルム(淑子)もまた登場して欲しいところ。


また、描写も丁寧で読み応えがあった。舞台である名古屋の日常風景や食事風景なんかはその場面が目に浮かんでいくるよう。名古屋に縁のある人はより楽しめるかも。既に続巻である「甘栗と戦車とシロノワール」が発売されているので、内容が気になりつつも気長に文庫化を待ちます。


太田忠司さんの本は初めて読みますが、調べてみるとミステリー物を多く書かれている作家さんなんですね。他のミステリー物もあらすじを読むと面白そうなシリーズ物があったので今度手に取ってみようかと。



ちなみに右が単行本のイラスト →
個人的にはこちらの表紙の方が好きだったり。折角なので載せときます。ミギーさんのイラスト、美しすぎます。











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初読み、小川糸さん。


同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さ な食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。巻末に番外編収録。


裏表紙引用より


物語の雰囲気が柔らかそうで、また食堂というタイトルに惹かれ購入。以前映画でも話題になっていたので気にはなっていたので読もうと読了。しかし結構賛否両論みたいですね、この本。ちょっと驚いたのが、題名や装丁からふんわりとした優しい雰囲気かと思いきや、命や絆などメッセージ性強い内容でした。ただ、肌に合わないところがちらほら。一度違和感が見え始めたら止まらなくなりました。うーん、嫌いな雰囲気ではないけれど、好きでもない。絶妙な読了感。


主人公である「倫子」は同棲していた恋人に全ての物を持ち出され、さらには声すら失ってしまう。実際にこんな事になったら自分だったらこんなに冷静にいられないような、と感じつつ、それは家庭環境の違いから来るのだと後々読んでいくと分かるのですが、ちょっと唐突すぎて驚きました。彼氏はいったいどこへ行った。


柔らかい雰囲気と共に語られる料理への愛情や表現、調理場面などは生き生きとしていて読み応えがあった。びしびし感じるのは料理への愛情と込められた気持ち。そういう場面はすごく好きでした。徐々に広まり始める「食堂かたつむり」。ただ、お客さんを選んでいるような感じが好きじゃないかな。それとフルーツサンドのエピソードでがっかり。もしかしたら実際に起こりうる事象なのかも知れないのだけれども、これは嫌だ。


また、エルメスのシーンには思わず泣いてしまった。人は命を食べて生きている。それは生き物全てが共通することなのだろうけれど、改めて口にしている物に対する意識が高まったように思う。人間のエゴだと感じるけれど理解は出来た。でもやっぱりちょっとグロテスクすぎる・・・・・・。ペットを飼っている分、肌がざわりとしました。ただ、解体シーンの精密さや料理する部位についての説明は細かく書かれているが、反面、料理を食べている人の気持ちや感情が伝わってこなかったのは残念。おかんが食べられなかったから書かれなかったのかも知れないけれど、個人的にはそこを踏まえて欲しかった。


おかんとのわだかまりが解けたのは良かったのだけれども、どうしてもちょっと都合良すぎないか? と思ってしまう。わだかまりが残ったまま終わってしまうのはすごく嫌だったと思う反面、聞かされた内容でわだかまりが全て消えるかな、とも感じる。特に血が繋がっている分、子供の頃から感じてきた印象と本来の姿との違和感に悩んで苦しみそうな気はするけれど。けれど、病名が癌で、余命幾ばくもないとなればそんなもの吹っ飛ぶのかな。でも「おかんから手紙」と結婚式前にひそかに倫子の部屋に入ってきたシーンにはじんわりと来ました。言いたいけど言えない。伝えたいけど伝わらない。本当に、似たもの親子。


前半部分の展開やストーリーは好きなんですけど、どうしても受け付けられない箇所もちらほら。一度見え始めた違和感が最後にはかなり大きく、最後は撃沈。でも好きなエピソードもあるし、と何だか微妙な心象。何だろう、なんか惜しい。確かにこれは賛否両論になる。それと時折混じる卑猥な言葉が最後まで慣れませんでした。





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初読み、石田衣良さん作品。


数百キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりは、お互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかしその後には、胸の奥をえぐり取られるような悲しみが待っていた―(表題作)。16歳の年の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる女性、自分が幸せになれないウエディングプラン・・・。迷い、傷つきながらも恋をする女性たちを描いた、10のショートストーリー。


裏表紙より引用


普段ライトノベルやファンタジー、推理物はよく読みますが恋愛小説は正直敷居が高く、あまり読みません。けれど無性に「大人の恋愛小説」が読みたくなり、色々と探した結果、石田衣良さんの「1ポンドの悲しみ」を手に取りました。


30代前半男女の恋愛を描いた短編が全10編で構成されています。どれも現実にありそうな恋愛物語。普通の中にあるふとした瞬間にきらりと心が動く瞬間をさらりと丁寧な文章で書かれていて、うまいなあ。日常の一部が一つの舞台のように感じる。けれど派手なわけではなく、1人の人間の恋愛を追って「物語」になっているのがすごいなと。


こうして見るとひとつひとつの恋愛には沢山のドラマが隠れているのだと気付かされる。個人的には生活や服装が細かに書かれていたりする、そんなところがより登場人物達を身近に感じられてよかった。


恋愛は甘い砂糖菓子のような物ではなく、辛く感じる恋が沢山ある。けれど、本書の登場人物達は傷ついても次に進んでいく強さがあり、また人を好きになる強さがある。苦しく、悲しくもあるんだけど希望もある。そんな印象を持った一冊だった。


個人的に好きな話は「十一月のつぼみ」「デートは本屋で」「秋の終わりの二週間」「スターティング・オーバー」。後書きと解説を読むとより楽しめることが出来ると思います。もっと年齢を重ねてからもう一度読むと別の視点からこの本を見つめ直すことが出来る気がする。それまでは本棚に収納決定。またいつか再読したい。





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荻原規子さんが書き下ろした、和製現代ファンタジー第1巻!


山伏の修験場として世界遺産に認定される玉倉神社に生まれ育った鈴原泉水子は、宮司を務める祖父と静かな二人暮らしを送っていたが、中学三年になった春、 突然東京の高校進学をすすめられる。しかも、父の友人で後見人の相楽雪政が、山伏として修行を積んできた自分の息子深行を、(下僕として)泉水子に一生付 き添わせるという。しかし、それは泉水子も知らない、自分の生い立ちや家系に関わる大きな理由があったのだ。


カバーそでより引用


荻原規子さんの本は久しぶりに読みます。本当、大好きなんです荻原規子さんの本! はじめて読んだのは3部作、「勾玉シリーズ」。特に好きなのは「空色勾玉」。文庫化をずっと待っていたら、6月から3ヶ月連続で徳間文庫にて念願の文庫化! 一気読みしたいので8月まで積んでます。ああ、一気読みが今から楽しみ! 次いで「西の善き魔女」「これは王国の鍵」「樹上のゆりかご」。・・・あれ、既刊本ほとんど読んでるな。後は「風神秘抄」「ファンタジーのDNA」、「RDGシリーズ」読めばコンプリート? 今度未読本、図書館利用して借りてみようかな。


閑話休題


初め、現代ファンタジーということで少し物語に入り込むまでに時間がかかりましたが、読み進めていくうちに見え隠れするファンタジーに引き込まれていきました。引っ込み思案で男の子と接するのを苦手としているの泉水子が自分を変えたいとずっと伸ばしていた髪の毛を少しだけ切ってしまったことから物語は動き出す。


舞台は熊野・世界遺産に登録された「玉倉神社」。後ろ向きで二つのお下げ頭がトレードマークの「泉水子(いずみこ)」が主人公。そして、そんな彼女の元に現れたのは完璧で不可能など内容に見える少年、「深雪(みゆき)」。この2人の設定がすごく好き。


泉水子の気持ちも分かるし、苛つく深雪の気持ちも分かる分、初めは読んでいて辛いシーンが多かった物の、そんな2人が少しずつ歩み寄っていく様は小気味良く、何より盛り上がる。初めが酷かっただけに感慨も一入。


そして、平凡で引っ込み思案な性格の彼女からは想像出来ない秘めた力を持っていて、それがじわじわと水面下から浮かび上がってくる様は流石。泉水子達をつけねらう存在と相対した場面の盛り上がり方はすごく盛り上がりました。そして舞を舞うシーンにも。


巫女、山伏、姫神と広がりを見せる和風な世界観と玉倉神社から感じ取る清涼感のある空気。改めて荻原さんは日本神話を下敷きにしたファンタジーが上手いなと感じました。1巻という事でまだまだ序章といったところ。次巻から物語が始まる雰囲気です。これから泉水子と深雪の関係がどうなるのか。そして姫神とは? 次巻を読むのが楽しみ。




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初読み、小川一水さん。


西暦248年、不気味な物の怪に襲われた邪馬台国の女王・卑弥呼を救った“使いの王”は、彼女の想像を絶する物語を語る。2300年後の未来において、謎の増殖型戦闘機械郡により地球は壊滅、さらに人類は壊滅、さらに人類の完全全滅を狙う機械郡に追って、彼ら人型人口知性体たちは絶望的な時間遡行戦を開始した。そして3世紀の邪馬台国こそが、全人類史の存亡を懸けた最終防衛戦であると―――。期待の作家が満を持して挑む、初の時間SF長編。


裏表紙より引用


読書の幅を拡げようと、SFに挑戦したくて色々と探していたところ、この本に行き着きました。また、裏表紙の煽りがいい。邪馬台国・卑弥呼と私を誘い込む名前があり、筆者と内容を調べると評価も高い。これは読んでみようと決意しました。いくらオススメでもSFの古典文学や海外作家は敷居が高すぎるorz


初めは中々入りにくかった物の、一度入り込んだら止まらない。特にO視点を読み始めてからが面白い。こんなに薄い文庫なのに、内容は濃い。軽快な文章と解りやすい時間論、そして敵であるET侵略理由も含め、未来と古代をつなぐ壮大な物語は読み応えがありました。


未来の人類を滅亡の危機から救うため、時間を遡ってETを殲滅する指令を受けたメッセンジャー・オービル(O)。歴史を変化させた瞬間、今までいた歴史の枝葉も変わり、自分がいた未来も、その時代で関わった人々共とも二度と会えない。時間を越え、守るべきものを失った後も生き続け、闘い、苦悩し続ける宿命の旅は邪馬台国・卑弥呼の時代に辿り着き、時間軸の最前線へと身を投じる彼の姿は切ない。


そして、邪馬台国の王・卑弥呼も自分を捨てて全てを背負おうと決意し、最後に見せた凛々しい姿には魅せられました。個人的にこの小説に出てくる女性陣の姿は切なくも温かく、格好いい印象がある。卑弥呼しかり、サヤカしかり、カッティしかり。


これでもか! と拡げ膨らんだ物語を一気にたたみかけるように引き締めたラストには、切ないような嬉しいような言葉にならない感情が溢れて胸が熱くなりました。読後感に後引く雰囲気も好みです。これ以降も続いて欲しいような、これで終わっていて欲しいような。色々と考えさせる本だった。


小川一水さんで他にも読みたいのは、オススメされている「第六大陸」と「老ヴォールの惑星」。是非探して読んでみたいと思う。




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初読み、岡田陸さん作品。


1億円の契約書を待つ締め切り直前のオフィス、下剤を盛られた子役、別れを画策する青年実業家、待ち合わせ場所に行き着けない老人、警察のOBたち、それに・・・・・・。真夏の東京駅、28人の登場人物はそれぞれに、何かが起きるのを待っていた。迫りくるタイムリミット、もつれあう人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが倒れてゆく! 抱腹絶倒、スピード感あふれるパニックコメディの大傑作!!


裏表紙より引用


裏表紙の内容に惹かれてページをペラリ。そして驚く登場人物の多さ! 全28人の登場人物達による簡易の紹介と一言。じっくり読んで頭に入れてから読み進めるとより楽しめると思います。


OL、子役、上京してきた老人、警察のOB、ミステリー研究会の学生達、来日中の監督とそのペット、そしてテロリスト。多種多様な人物達が「東京駅」を舞台にじわじわと絡み合っていく。登場人物があまりにも多いので混乱しないか心配しつつ読み進めた物の、意外とすんなり物語に入り込めました。登場する人物達は皆、個性的で印象深く、それぞれの視点で物語は進む。やがて彼らは偶然に引き寄せられ、東京駅に集合し、どたばたコメディーがスタートする。


一見何の接点もないような人物が関わっていく様はドミノのようで読んでいて痛快。息つかせぬ展開、次々と移り変わる視点であっても読者を飽きさせない描写力には舌を巻きました。ああ、楽しい! かくいう私も時間を忘れて読み込みました。


本来ならありえない展開にニヤニヤしたり、唸ったり。この題名と表紙の絵は見事です。読了感が爽やかな一冊でした。ただ、俳句会の人達や元ヤンのOLのその後はどうなったのか気になるところ。軽快なエイターテイメントが読みたいときにオススメな一冊です。




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初読み、伊吹幸太郎さん作品。


八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは? 今日を生きることの意味を知る物語。


裏表紙より引用


小惑星が地球に衝突し、地球が滅亡するまであと3年。当時の混乱で家族や恋人を亡くし、諦めたかのように暴動や凶悪事件が治まった束の間の小康を生きる人達のお話。短編集の形で8話ほど。残り3年という時間軸で物語が展開するもの考えさせられる。後、3年なのか。あと3年も、なのか。


小惑星が地球に衝突して滅亡、という設定はちょっと無理があるかもしれないけれど、(後書きにも書かれていたように)だからこそ描かれる確実に辿る「死」について考えさせられる作品だった。残された人生の中で彼らが生き、自分自身の価値観を持って生きようとしているのかがリアルに伝わってきた。最後の瞬間までがむしゃらに生きようとする姿には胸にくるものがある。


話の内容は重々しいけれど、軽快なテンポで勧める会話や独特の雰囲気で書かれる心情がいい。全8編あるけれど、全て前向きな姿勢で生きようとする姿にも終末にもかかわらず、ほんわりと胸が温かくなる。


どの短編もそれぞれパンチの効いていて、読み応えがある。個人的にお気に入りの物語は「太陽のシール」「鋼鉄のウール」「演劇のオール」。また、心に残る台詞が数多くあり、普段は当たり前過ぎて意識しない生きることについて深く考えさせられた。


短編に登場するキャラクターは、別の短編にも登場するのも面白い。連鎖的に広がる物語が、人々の世界を大きく構築している。終末とは思えないほどのんびりとしたような雰囲気やどこか飄々としながらも温かい登場人物達。自分だったらどうする、と終末について考えてみるものいいかもしれない。




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のんびりなので更新は遅いと思いますが、ちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。

【追記】かなり更新空いてすみません。体調不良と多忙でブログを書く気力がorz またぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします。
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