超雑多感想所。お暇なときにでもお立ち寄り下さい♪
感想はネタバレしています。まだ読んでいない、プレイしていない方はご注意を!
文学少女シリーズ2作目。
文芸部部長・天野遠子。物語を食べちゃうくらい愛しているこの自称“文学少女”に、後輩の井上心葉は振り回されっぱなしの毎日を送っている。そんなある 日、文芸部の「恋の相談ポスト」に「憎い」「幽霊が」という文字や、謎の数字を書き連ねた紙片が投げ込まれる。文芸部への挑戦だわ!と、心葉を巻き込み調 査をはじめる遠子だが、見つけた“犯人”は「わたし、もう死んでるの」と笑う少女で―!? コメディ風味のビターテイスト学園ミステリー、第2弾。
裏表紙より
初めはほのぼのな雰囲気だが話が進んでいくと暗い情念が深く深く見えてくる。前巻よりもさらに陰鬱な話でした。ライトノベルと侮る事勿れ。
今回の題材はエミリー・ブロンテの「嵐が丘」。嵐が丘の内容は知らなかったのだけど、内容に沿って進むだけでなく一捻り加えてあり、一度も読んだことがないのに読んだように思えるほど濃厚な内容でした。様々な事実が判明する度に背筋がざわりと震える。じわじわとくる人間の狂気に怖いのに読むことがやめられない。最後の最後まで報われない蛍。憎んでいても「愛してる」っていう描写がすごい。
失われた時間は新たに歩んで取り返せる、やり直せる、と事件の全容を「想像」した文学少女の遠子先輩。 時間がないを戻すことも、取り返すことも出来ないと知っている元・覆面作家の心葉。激しい感情を剥き出しにし想いを告白する蛍。全てを理解した上で物語を紡ごうとした麻貴。交錯しあう誤解が生んだ、遅すぎた救い。この場面は感情が入り乱れ悲惨で、心が削られていくのに読むことをやめられない。
今回は遠子が居候する家の息子・櫻井流人が初登場。一見軟派で真正プレイボーイですが、実は男気もある人・・・・・・でも何故あんな恋愛観なのか。しかしプレイボーイっぷりはすごい。今後の登場が楽しみなキャラクター。
黒幕の存在にも驚かされた。最後に麻貴のモノローグがやけに耳に残る。確かにオーケストラ部の部長なのに何故絵をと思っていただけに彼女の置かれている立場を理解。複雑。複雑といえば、心葉くんの過去も気になるところ。そして、そんな心葉くんを庇ったツンデレ少女、琴吹ななせ。次巻で彼女が報われる話になればいいのだけれど。
【“文学少女”シリーズ】その他の感想
第1作 「“文学少女”と死にたがりの道化」
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「バッカーノ!」第9巻。
副社長と新人カメラマンは情報を得るためシカゴの街へ。奇妙な集団はヒューイの命令で大事に備えて密かにシカゴの街へ。破壊魔はルッソ・ファミリーに誘わ れ、ラッドの代わりにシカゴの街へ。研究者は会社があるのでシカゴの街へ。吸血鬼は友達の為にシカゴの街へ。曲者達が刑務所にいる間、一方のシカゴでは全 土を揺るがす大事件が巻き起ころうとしていた。三百箇所に仕掛けられた爆発物。同時に併発した二百人以上の失踪事件。すべてが繋がり始める時、娑婆の空気 を塗り替える者とは―。
カバーそでより
やられた!前巻、フィーロの動向が気になっていたところだったのでまさかこんな話だったとは・・・。1934年は全三巻だったので、普通なら上・中・下の三部作になるところが、上・上・下。まさかの上巻2冊にはやられました。
娑婆=シカゴ編、というところでついに登場、グラハム。アニメの方で彼は見ていたので結構新鮮。原作では今巻で登場だったんですね。巨大なモンキーレンチを振り回す格闘シーンは必見。是非とも映像で見たい。
対する吸血鬼(ラミア)もクモリノチアメ編で登場したメンバーに加えて新たにお目見え。どのキャラも濃い。濃すぎる。好きだけれども、この濃さ。特に詩人につっこみを入れるシックルが好き。ラミアでメインで活躍したのはレイル・フランク。主にレイル。レイルの今後はもの凄く気になるところ。
何というか、バッカーノって子供に対しての表現がキツイ気がするのは私だけか?いや、まあ他のキャラも等しく酷い目にあっているのは多いのだけれども、特に私が目につくのが子供なだけなのかも知れないけれど。レイルしかり、チェス君しかり。それと、今までどうにも受け入れがたいヒューイに加え、新たにルネさん登場。どうやらこの2人以前に面識有り?しかし何故片眼だけ入手しようと思ったのかは未だに謎。それを含めて完結編が気になるところ。
そして、クモリノチアメ編で怪我を負い、行方不明となったクリストファー。彼を拾ったルッソファミリーの孫・リカルドとのコンビがいい。クリストファーの好感度が一気に上がりました。この2人好きです。
また、今回でようやくDD新聞社副社長とその助手・キャロルが登場。アニメでは1話で登場した彼らも今巻初登場。キャロルが出ると和みます。そしてグラハムと列車強盗犯という初対面をしたエピソードも気になるところ。その辺書いてくれるのかな?
それにしても、P206の会話の中に「敢えて言おう」のお決まりの台詞を吐いた人がいたのですが。ナイルか。ナイルなのか!?
出所したアイザックを迎えにミリアが混乱中の街、シカゴへ乗り込み心配だからとなし崩しに故郷シカゴへと戻ってきたジャグジー一味。次回完結編も騒がしくなりそう!
【バッカーノ!】シリーズその他の感想
第1作 「バッカーノ!―The Rolling Bootlegs」
第2作 「バッカーノ!1931 鈍行編―The Grand Punk Railroad」
第3作 「バッカーノ!1931 特急編―The Grand Punk Railroad」
第4作 「バッカーノ!1932―Drug & The Dominos」
第5作 「バッカーノ!2001―The Children Of Bottle」
第6作 「バッカーノ!1933〈上〉THE SLASH クモリノチアメ」
第7作 「バッカーノ!1933〈下〉THE SLASH クモリノチアメ」
第8作 「バッカーノ!1934 獄中編―Alice In Jails」
初読み、雫井脩介さん作品。
堀井香恵は、文具店でのアルバイトと音楽サークルの活動に勤しむ、ごく普通の大学生だ。友人との関係も良好、アルバイトにもやりがいを感じてはいるが、何か物足りない思いを抱えたまま日々を過ごしている。そんななか、自室のクローゼットで、前の住人が置き忘れたと思しきノートを見つける。興味本位でその ノートを手にする香恵。閉じられたノートが開かれたとき、彼女の平凡な日常は大きく変わりはじめるのだった―。
裏表紙より
始め、ミステリーものかと思って読み始めていたのですが想像していたものと違い出鼻を挫かれた感がありましたが読み進め、読み終わる頃には泣いてしまった。
物語は主人公である「香恵」の一人称で読みやすいが、始め途中途中に書かれる「伊吹先生」はいったい誰なのか頭をひねりつつ、読み、ノートを読み始めた辺りからどんどん物語に引きずり込まれていきました。
ぼけぼけした香恵が伊吹先生のノートを読む内に共感したり、応援していく姿に彼女が少しずつ成長していくようで読み手のこちら側も嬉しい。香恵は少し周りに流されやすく、それでも自分を探している姿にわかるなあ、と少し共感。天然で奥手な彼女が積極的にアプローチする場面には頑張れ!と思わず応援してしまった。
香恵がアルバイトをする中で登場する「万年筆」の説明も面白かった。普段触れる機会が少ないだけにこんなにも高価なのか!と目から鱗。けれど、私も似たような経験をしているだけに感慨も一入。思い入れのあるシーンでした。
また、ノートに登場する伊吹先生の子供達との愛情溢れるふれあい。真摯な態度。教育に対する熱意。4の2を家族にしよう。素敵な先生です。ノートに描かれる等身大の彼女は教育現場での「先生」としての自分と、久々に再会した「隆」との恋の悩み。途中で展開は読めてしまうのだけれども、それでも香恵の感情の変化が読んでいてとても心地よかった。今まで出会ったことがないのに、語りかけ、力をくれる伊吹先生の存在感が本書の中に満ちあふれていた。何となく香恵よりも伊吹先生の方が思い入れが強く書かれている印象だっただけに、あとがきに書かれた一文に納得。
最後の展開には目頭が熱くなり泣いた。そして伊吹先生に触れ、少しずつ彼女に似てきた香恵が最後にポカをするところには思わずニヤリ。香恵はそうでなくては!
割とあっさりと物語は終わり、続きは?この後どうなるの?と気になりつつも良い幕引き。切なく、心温まる物語でした。
時代小説、「妻は、くノ一」第2巻。
「わしがこの国を開いてやる」江戸藩邸で「甲子夜話」の執筆にいそしむ元平戸藩主、松浦静山はこともなく言い放った。友人の千右衛門に連れられ下屋敷に呼 び出された雙星彦馬は仰天。こんな発言は露見すると即座に打ち首だった。天文航海に通じた彦馬に期するものでもあるのか。神田妻恋坂の裏長屋に居を定め、 寺子屋の合間を縫って織江を探す彦馬。だが、花のお江戸は今日もまた驚きの連続なのだった…。
裏表紙より
平戸から江戸へと上京した彦馬は手習いの仕事も見つかりようやく生活が安定してきたところでちらほらと事件が起こり始める。事件の内容は割と静山公が書いている「甲子夜話」に絡めたような話で、それを彦馬が謎を解く。この事件もユーモアがあって結構好きです。
ちなみにこの静山公、松浦静山は実在の人物。号が静山で、本名は松浦清。wikiに詳しい話が載っていますが、「甲子夜話」(かっしやわ)は彼が隠居してから20年間で書き綴ったもの。ちょっと面白そう。そして心形刀流の達人だったと。やけに甲子夜話の話がリアルなので調べてみたら実在の人物だったという・・・。うーむ、勉強になる。
彦馬はのんびりとしているけれど人とは違う視点で物事を考え、科学的な思考を持つ当時としてはかなり珍しい人物だと思う。そして手習いの先生が天職ですね、彼の場合。生徒達への接し方や考え方がいい。勉強が出来るからいい、ではなく生徒それぞれの良い所を見つけているのもよく見ているなと感心する。後、手習いが終わった後生徒達に1人1人に声を掛けているのも良い先生だ。
そして手習いの合間を塗って織江を探す日々。変装しているから近くにいる織江に気付かない彦馬と愛する夫が必死で探している姿を近くにいながら話しかけられないジレンマ。この切ない感じがやきもきさせられるけども、いいんです。織江視点で読むときに特にそう感じます。
それと、前巻にも登場した双子の泥棒も活躍。この2人癒されるんだが。彦馬と織江の2人にも出会っている彼ら。果たしてねずみ小僧のような義賊になれるのか。今後の活躍が楽しみ。
また、前巻で自分の野望を口に出した静山公。その危うさから桜田屋敷(お庭版の総本山?という認識で良いのかな)から潜入するよう言いつけられた織江が平戸藩の下屋敷に潜入、するのだけれどもそこで登場くノ一・お弓。お弓は完全にヤンデレですね。同じ忍びの川村に恋するあまり前妻を呪い殺すとか、こわっ。しかも川村は織江が好きな様子。さらに前妻が亡くなったことで下忍の織江を娶りやすくなり、今度こそ妻になれると思いきや織江が邪魔に。魔の手が織江にものびたが織江は生き残り、反対にお弓はお庭番だとばれ、静山公に竹で咽を一突き。静山公の剣の腕っ節の強さがよく分かる話だったと同時に、お庭番の最後はかくも悲しいものなのかと痛感させられた話でした。織江が殺されていた可能性もあったのだから。
しかし、お弓が死んで呼び出した織江に「嫁になれ」発言はどうなの川村。自分を好いていた相手が死んだというのにあっさりと織江に告げる言葉ではないような・・・。
いろんなゴタゴタがあったものの、最終的には潜入できた織江。けれど下男の虎吉に襲われ・・・。時代小説って必ずというわけではないものの、手籠め表現があって悲しい。この時代こういう事が多かったって事なんでしょうが・・・。
そして織江の覚悟の一言。
「これが、くノ一の仕事なの!」
辛すぎるよくノ一!何とかして彦馬で次回。何という生殺し。
【妻は、くノ一シリーズ】その他の感想
第1作 「妻は、くノ一」
「バッカーノ!」第8巻!
若手幹部は『ミストウォール爆破事件』の参考人である恋人をかばって刑務所に。殺人鬼はヒューイという『不死者』を殺す快感を求めて刑務所に。泥棒は普通 に逮捕され刑務所に。名前を譲った殺し屋はネブラの部長に依頼され刑務所に。錬金術師は最初から刑務所に。サンフランシスコ湾の沖合いに浮かぶアルカトラ ズ刑務所に、一筋縄ではいかない男達がそれぞれの目的を抱えて集う。一方、NYに残された者やFBIも何かを求めて動きだす。まるで全ての事象が一つに繋 がっているかのように…。そして、最悪の事件の幕が開ける―。
カバーそでより
タイトル通り、獄中編。舞台はサンフランシスコ湾内「アスカトラズ刑務所」。小説本編にもかなり丁寧に触れられてますが、この刑務所映画等でも有名な裏の顔、アル・カポネが収容されていた場所。こういう時代背景を含めて読むと、私の場合楽しくなってきたりする。そこから色々調べ始めると止まらなかったり。この時代のアメリカもっと色々調べたい。
メインはエニスの罪を未解決にする代わりに不死者でありFBIのヴィクターにヒューイに接触するために強制収容される「フィーロ」。そしてその一月前。蜂の巣にてしょっ引かれ、本来アスカトラズ刑務所に入るはずのない「アイザック」、ヒューイを殺すために他の刑務所から移ってきた「ラッド」の3人。
バッカーノは群青劇ですし、特に突出した主人公はいないですが個人的にはフィーロとジャグジーをメインにストーリーを追っているのでフィーロ視点は嬉しかったり。それにしてもフィーロって変なのに好かれますね。前巻ではクリストファーに親友(?だったっけ)、今回はラッド。しかもクレアと幼馴染み。何この面子。全員一癖も二癖もありすぎる。
獄中にて起こる事件、フィーロと共に収容された3人の囚人の誰かが鍵を握っていると思いきや全員かよ!しかも看守まで。謎が一つ解決したかと思いきや、最後の最後にどでかい謎が。やっぱり面白いなバッカーノ。
描写は重くはないものの、舞台が刑務所なので結構暗め。けれどアイザックにより和む。でもミリアの相槌がない分新鮮&少し悲しい。やっぱりアイザックとミリアは2人でセット。このカップルが和気藹々愛し合ってればいいよ。
カップル、といえばフィーロとエニス。今回の出来事で少しは進展があればいいのだけれど。健気なフィーロが可愛すぎる。まあ、結婚するまで50年なのでまだまだ先の話か。そしてクレアとシャーネ、ジャグジーとニースも相変わらず。バッカーノに登場するカップルは本当可愛いなあ。
【バッカーノ!】シリーズその他の感想
第1作 「バッカーノ!―The Rolling Bootlegs」
第2作 「バッカーノ!1931 鈍行編―The Grand Punk Railroad」
第3作 「バッカーノ!1931 特急編―The Grand Punk Railroad」
第4作 「バッカーノ!1932―Drug & The Dominos」
第5作 「バッカーノ!2001―The Children Of Bottle」
第6作 「バッカーノ!1933〈上〉THE SLASH クモリノチアメ」
第7作 「バッカーノ!1933〈下〉THE SLASH クモリノチアメ」
文学少女シリーズ1作目。
「どうかあたしの恋を叶えてください!」何故か文芸部に持ち込まれた依頼。それは、単なる恋文の代筆のはずだったが…。
物語を食べちゃうくらい深く愛して いる“文学少女”天野遠子と、平穏と平凡を愛する、今はただの男子高校生、井上心葉。ふたりの前に紡ぎ出されたのは、人間の心が分からない、孤独な“お化 け”の嘆きと絶望の物語だった―。
野村美月が贈る新味、口溶け軽めでちょっぴりビターな、ミステリアス学園コメディ、開幕!!
裏表紙より
以前から文学少女シリーズが気になっており、表紙、帯、そして題名から「おもしろいよ~」というオーラを感じる(笑) 最近知ったのですが「このライトノベルがすごい!」に2007年から10位以内に必ず入っているんですね。この雑誌すら最近知った私って・・・orz まあいいんです。基本、本は自分の感性 or 直感 or 人の紹介で買うので。
閑話休題。
そんなわけでおもしろいのか、なら読んでみるかという結構斜め目線で読み始めたのですがごめんなさい。侮ってました。プロローグを読み終わった時点で既に虜。文学少女侮りがたし。ぐいぐい引き込まれていく感覚=良い本に巡り会えた。もっと早くに読むべきだったと後悔。
〝文学少女〟の遠子先輩と、元・覆面天才美少女作家の心葉(このは)くんのお話。キャラクターの位置づけも面白い。まさか本を食べる文学少女だったとは思わず、また心葉くんの設定も面白い。中盤までは何故「文学少女」なのかピンと来なかったのですが、最後の怒濤の展開で一気に評価が変わりました。
また、今回起こった事件では「推理」ではなく「想像」で事件を解決に導いているのも珍しいかと。最後の怒濤の展開は引き込まれて一気に読みました。個人的にはかなり読みやすい作品でした。キャラクター達は結構濃い人が多く、内容がハードな割に清涼感のある読み応えで何だか優しい気持ちになれたのも不思議な感じ。良い読了感でした。
題材に使われている太宰治の「人間失格」。一度読もうと手に取ったもののあまりにも暗すぎて馴染めず途中終了。太宰治作品を読んでいる方はよりいっそう楽しめたのでは。今度太宰治作品をもう一度手に取ってみたいと思います。
キャラクターの中に所謂「萌系」がいますが、女性作家と言うことで下品な印象がないのも個人的に評価が高いです。どうしても萌系のキャラは苦手なので。萌系が苦手な女性にもお勧めしたい一冊かな。
wikiで読んだのですが、何故少年向けのレーベルに応募したのかという理由に対して野村さんの解答が「逆に可愛い女の子をいくらでも書ける」という発想に驚きました。そういう発想はしたことがなかったので目から鱗。野村さん自身に興味が湧いてきました。機会があったら別のシリーズも読んでみたい。
時代小説、「妻は、くノ一」第1巻。
平戸藩の御船手方書物天文係の雙星彦馬は、三度の飯より星が好きという藩きっての変わり者。そんな彦馬のもとに上司の紹介で美しい嫁・織江がやってきた。 彦馬は生涯大切にすることを心に誓うが、わずかひと月で新妻は失踪してしまう。じつは織江は、平戸藩の密貿易を怪しんだ幕府が送り込んだくノ一だった。そ うとは知らず妻を捜しに江戸へ赴く彦馬だったが…。人気著者が放つ「妻は、くノ一」シリーズ第1弾。
裏表紙より
初、風野真知雄さん作品。題名の「妻はくノ一」に惹かれて購入。ブログ記事を書くに当たり、久々に読み直しました。時代小説はさほど読んでいるわけではありませんが、池波正太郎の「剣客商売」を読んでから完全に垣根を越えました(笑) 今ではちょくちょく時代小説読んでます。特に風野さんは好きな作家さんです。作家買いしていたり。風野さんの作品では「若さま同心徳川竜之助」「大江戸定年組」は読んでます。他のシリーズ、単巻も読みたいものの、お金が。ううっ。
閑話休題。
冴えない男、彦馬の元に嫁いできた(実は潜入)織江がくノ一。発想が面白い。くノ一って初めはさほどピンと来ないんですよね。何故彦馬の元にくノ一が?と疑問に持ちますし。でも読み進めていく内にじわじわと出てくる彦馬と織江の人柄が魅力的で面白くなってくるんです。文章も読みやすいですし、のんびりとした作風が良い味出てます。
1巻はまだ完全に序章。ストーリー的には全然進んでません。ようやく物語が始まる、といったところで終了。けれど次巻が読みたいと思われるのは登場人物が魅力的だからかな。
桜嵐恋絵巻シリーズ第3作。
源雅遠と藤原詞子は相思相愛の仲。ただし家同士の軋轢と詞子が背負っている呪いゆえ、二人の関係は世間には秘密。紆余曲折の末、雅遠は、詞子姫と幸せに結 婚するには左大臣の父の力を借りず己の実力のみで、立身出世しなくてはならないと気づき、出仕を始める。そんな折、雅遠は父から結婚を命じられた!?そこ にある政治的思惑も潜んでいて…。雅遠は詞子姫をどう守るのか!?大人気の平安ラブロマン。
裏表紙より
前作で詞子の為に出世することを誓った雅遠。出仕し始めたことで一気に物語が動き出した気がします。初めはできが悪いといわれていた雅遠もどうもできが悪いと「思わされていた」という何とも微妙な暗示のような物も出てきており、果たして誰がそんなことを思わせてきたのかが気になるところ。また、どうやら頭が切れるタイプらしく事件を処理するに辺り冷静に物事を処理していく姿が格好いい。父親をやりこめ、しかも母親を味方に付けたシーンはすっきりしました。そのまま突っ走れ雅遠。
もう既に夫婦な雰囲気がちらほら見え始めている2人が愛おしい。詞子も大分前向きになりました。女御を匿った際にも彼女に良い意味で刺激をもらったように感じます。最後に啖呵を切ったところも良かったです。女御も詞子もどちらも厳しい道になりそうですが、2人で競い合って互いに幸せになって欲しい。
そして予想外だったのが雅遠の弟、「利雅」。実はお前ツンデレ属性だったのか!と思わず笑ってしまった。急激に彼の好感度が上がってしまった(笑)あれ、実はお兄ちゃん子なのか?ブラコンだったのか!?今後の弟の立ち位置も気になるところ。何故兄を押しのけて出世しようとしているのか理由が知りたい。いや、彼的にはそうしないと家での立ち位置が危うくなるからなのかな?元々側室の息子だし。雅遠ができが悪いと思わされている理由も実は黒幕が弟の母親な気がするけれど。どうなんだろ?
【桜嵐恋絵巻シリーズ】その他の感想
第1作 「桜嵐恋絵巻」
第2作 「桜嵐恋絵巻―雨ひそか」
薬師アルジャン、第2巻!
王のただ一人の娘として幼い頃から暗殺の危険にさらされ、幼い頃から孤独だったプリムラ姫。そんな彼女の元に連れてこられた奴隷であり毒味役のアルジャンとの出会いが描かれ、またかつてアルジャンが城を追われる身となった原因の事件も語られ、そして王としても大切な一人の女性が犠牲となる。
1話目の親に毒を盛っていた娘の話。心を毒に染まってしまったら、狂気に蝕まれ始める。そんな親子の姿が悲しい。後で後悔しても後悔しきれないつらさ。悲しい。けれど逃げずに罪の意識を持って地に足付けて生きて欲しい。
前巻より遥かに政治色が濃くなった。その理由として、プリムラ姫が真剣に「王」について考え、民の生活を良くしようとしているためだと思う。前巻で1話事に成長した彼女も今回で急激に王としての自覚を持った。その傍に支えるようにアルジャンがいる。
アルジャンとプリムラ姫の過去の話も辛く、悲しいのだけれども優しい過去のお話。本当、良い話だ。
「ただ優しいだけでは王にはなれない。王になるためには民は何かを見いだす」
かつて謀反の疑いとして処刑された(はず)のとある方の言葉。確かに。納得。王として例え冷酷だと言われようともそれは国王としての判断であり厳しさ、人の優しさをなくしたわけではない。そしてかつては娘を殺そうしたために感じる負い目による不自然な娘の愛し方は父親としての王の姿。奥深いなあ本当。
【薬師アルジャン】その他の感想
薬師アルジャン(1)
舞姫恋風伝シリーズ、番外編。
主役カップルほか、人気の脇カップル達の恋物語をロマンチックに綴った短編集。「慈雲×佳葉」は、幼い頃から結婚式の日まで、意地っ張りな恋人達のラブス トーリー。「昇貴×連珠」は、互いが“大切なたった一人”だと分かり合うまでの感動ラブ。「月真×香泉」は、月真の過去を絡めつつ香泉との恋を描いた、思いやり溢れる物語。「愛鈴×慧俊」は、ラブラブな日常を甘く描いた優しい物語。全8話収録。
裏表紙より
全三巻のシリーズで短編集って珍しい気もしますが、この物語だったら有りです。何といっても主役以外のサブカップル達が良い味出してます。全8編という事で、4組のカップルのお話の他に脇役達のその後の話もありました。
ずっと慈雲と佳葉の2人がどんな結婚式を挙げたのか気になっていたので読めて本当によかった。意地になってしまい、本当の思いを告げられない慈雲と佳葉の2人が可愛らしい。ラブラブな終わり方が素敵でした。
そして、この2人よりさらに気になっていたカップルが二つ。月真と香泉、昇貴と連珠。月真の過去話を絡めた物語には2人が常にすれ違い切なくも暖かい物語でした。ようやく2人が結ばれたときにはほっと一息。それにしても月真の実親らしき人物も発見でき、しかし本人は気付いていない様子。すごく気になるところで終わった物の、だからこそいいのかな、と思ったり。いい短編でした。
個人的にお気に入りは昇貴と連珠の物語だったりします。お互いに特別な存在になった時のお話。一人きりになってしまった昇貴に沈んでしまった彼を落ち込ませないようにあえて横暴な侍女を演じる連珠の姿が良い。そしてわがままな昇貴に戻り、けれどもどこか今までとは違う姿にちょっとほろり。最後に泣く連珠をおろおろしながらも抱きしめる昇貴が良かった。これからの2人の生活が気になるところだけれども、収まるところに収まって良かった。
そして、この中でも異色な短編、宮妓、明艶が語る、愛鈴が后となった直後の教坊のお話と愛鈴の弟、修安のその後のお話。明艶のお話も物語の合間の気になっていた部分を消化できて良かったですが、なにより弟君の話は感慨深かった。2巻での彼の処遇には腑に落ちないところがあったので納得。彼の人生のその後の部分もかいま見られて良かった。
いつも通りにラブラブな愛鈴と慧俊。もう見ていてごちそうさまな2人は最初と最後にしっかりと物語を締めてくれました。これで物語が終わりだと思うと寂しいです。それにしてもまさか連珠が鈴村さんの一声で産まれたキャラクターだったとは・・・うーむ感慨深い。(あとがきより)それと、あとがきに書かれていた没ネタがもの凄く気になるのですが・・・!キャラクター達が好きだっただけにその没ネタどこかで読めないかな。需要ここに一つありますから!とこんな所で叫んでみたり(笑)
【舞姫恋風伝シリーズ】その他の感想
第1作 「舞姫恋風伝」
第2作 「舞姫恋風伝―廃城の反乱」
第3作 「舞姫恋風伝―花街の迷走」
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のんびりなので更新は遅いと思いますが、ちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。
【追記】かなり更新空いてすみません。体調不良と多忙でブログを書く気力がorz またぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします。
【追記】かなり更新空いてすみません。体調不良と多忙でブログを書く気力がorz またぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします。
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