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超雑多感想所。お暇なときにでもお立ち寄り下さい♪ 感想はネタバレしています。まだ読んでいない、プレイしていない方はご注意を!
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荻原規子さんが書き下ろした、和製現代ファンタジー第1巻!


山伏の修験場として世界遺産に認定される玉倉神社に生まれ育った鈴原泉水子は、宮司を務める祖父と静かな二人暮らしを送っていたが、中学三年になった春、 突然東京の高校進学をすすめられる。しかも、父の友人で後見人の相楽雪政が、山伏として修行を積んできた自分の息子深行を、(下僕として)泉水子に一生付 き添わせるという。しかし、それは泉水子も知らない、自分の生い立ちや家系に関わる大きな理由があったのだ。


カバーそでより引用


荻原規子さんの本は久しぶりに読みます。本当、大好きなんです荻原規子さんの本! はじめて読んだのは3部作、「勾玉シリーズ」。特に好きなのは「空色勾玉」。文庫化をずっと待っていたら、6月から3ヶ月連続で徳間文庫にて念願の文庫化! 一気読みしたいので8月まで積んでます。ああ、一気読みが今から楽しみ! 次いで「西の善き魔女」「これは王国の鍵」「樹上のゆりかご」。・・・あれ、既刊本ほとんど読んでるな。後は「風神秘抄」「ファンタジーのDNA」、「RDGシリーズ」読めばコンプリート? 今度未読本、図書館利用して借りてみようかな。


閑話休題


初め、現代ファンタジーということで少し物語に入り込むまでに時間がかかりましたが、読み進めていくうちに見え隠れするファンタジーに引き込まれていきました。引っ込み思案で男の子と接するのを苦手としているの泉水子が自分を変えたいとずっと伸ばしていた髪の毛を少しだけ切ってしまったことから物語は動き出す。


舞台は熊野・世界遺産に登録された「玉倉神社」。後ろ向きで二つのお下げ頭がトレードマークの「泉水子(いずみこ)」が主人公。そして、そんな彼女の元に現れたのは完璧で不可能など内容に見える少年、「深雪(みゆき)」。この2人の設定がすごく好き。


泉水子の気持ちも分かるし、苛つく深雪の気持ちも分かる分、初めは読んでいて辛いシーンが多かった物の、そんな2人が少しずつ歩み寄っていく様は小気味良く、何より盛り上がる。初めが酷かっただけに感慨も一入。


そして、平凡で引っ込み思案な性格の彼女からは想像出来ない秘めた力を持っていて、それがじわじわと水面下から浮かび上がってくる様は流石。泉水子達をつけねらう存在と相対した場面の盛り上がり方はすごく盛り上がりました。そして舞を舞うシーンにも。


巫女、山伏、姫神と広がりを見せる和風な世界観と玉倉神社から感じ取る清涼感のある空気。改めて荻原さんは日本神話を下敷きにしたファンタジーが上手いなと感じました。1巻という事でまだまだ序章といったところ。次巻から物語が始まる雰囲気です。これから泉水子と深雪の関係がどうなるのか。そして姫神とは? 次巻を読むのが楽しみ。




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初読み、小川一水さん。


西暦248年、不気味な物の怪に襲われた邪馬台国の女王・卑弥呼を救った“使いの王”は、彼女の想像を絶する物語を語る。2300年後の未来において、謎の増殖型戦闘機械郡により地球は壊滅、さらに人類は壊滅、さらに人類の完全全滅を狙う機械郡に追って、彼ら人型人口知性体たちは絶望的な時間遡行戦を開始した。そして3世紀の邪馬台国こそが、全人類史の存亡を懸けた最終防衛戦であると―――。期待の作家が満を持して挑む、初の時間SF長編。


裏表紙より引用


読書の幅を拡げようと、SFに挑戦したくて色々と探していたところ、この本に行き着きました。また、裏表紙の煽りがいい。邪馬台国・卑弥呼と私を誘い込む名前があり、筆者と内容を調べると評価も高い。これは読んでみようと決意しました。いくらオススメでもSFの古典文学や海外作家は敷居が高すぎるorz


初めは中々入りにくかった物の、一度入り込んだら止まらない。特にO視点を読み始めてからが面白い。こんなに薄い文庫なのに、内容は濃い。軽快な文章と解りやすい時間論、そして敵であるET侵略理由も含め、未来と古代をつなぐ壮大な物語は読み応えがありました。


未来の人類を滅亡の危機から救うため、時間を遡ってETを殲滅する指令を受けたメッセンジャー・オービル(O)。歴史を変化させた瞬間、今までいた歴史の枝葉も変わり、自分がいた未来も、その時代で関わった人々共とも二度と会えない。時間を越え、守るべきものを失った後も生き続け、闘い、苦悩し続ける宿命の旅は邪馬台国・卑弥呼の時代に辿り着き、時間軸の最前線へと身を投じる彼の姿は切ない。


そして、邪馬台国の王・卑弥呼も自分を捨てて全てを背負おうと決意し、最後に見せた凛々しい姿には魅せられました。個人的にこの小説に出てくる女性陣の姿は切なくも温かく、格好いい印象がある。卑弥呼しかり、サヤカしかり、カッティしかり。


これでもか! と拡げ膨らんだ物語を一気にたたみかけるように引き締めたラストには、切ないような嬉しいような言葉にならない感情が溢れて胸が熱くなりました。読後感に後引く雰囲気も好みです。これ以降も続いて欲しいような、これで終わっていて欲しいような。色々と考えさせる本だった。


小川一水さんで他にも読みたいのは、オススメされている「第六大陸」と「老ヴォールの惑星」。是非探して読んでみたいと思う。




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“本の姫”は謳うシリーズ、第2作。


病に倒れた母のため、一度は捨てたはずの故郷へ、七年ぶりに“姫”と帰るアンガス。記憶を失い、やがては死に至るという“忘れ病”は、母だけでなく、すで に町全体を蝕んでいた。初めて見る不吉な病に文字の気配を感じる二人だが―!? 一方、バニストンで彼の帰りを待つセラに、エイドリアンは語り始める。アンガスの過去を、そしてその背負う運命を…。シリーズ急展開!



裏表紙より引用


二つの物語を整理するために、初っ端から物語の内容を書いてます。感想はほぼ一番下。アンガスと「俺」の物語事にテーブルで囲い、色を変えてあります。


病に倒れた母のため、捨てたはずの故郷へと戻るアンガス。そして、セラへと語られるアンガスの過去。西部の町は天使還りと呼ばれるアンガスを忌み嫌い、幼い頃からずっと虐げられてきたアンガス。実の父・ダネルに殺されそうになり逃げた先でであるヘンリーと親友となるウォルター。雪山で姿を失い、戻った先で希望のスペルに触れ、目の前で命を絶った兄。

辛い過去だというのに故郷へ戻った先で再会する初恋の少女・ヘザー。そして、スペルが宿っていた人間の肝臓。真相を確かめようとしたフォンス村で出会うジミーとビット、そして空飛ぶ機械ジャイロ。スペルを回収し、事件を解決へと導いた物のむき出しの敵意にさらされながらもジョニーとアークのふたりがアンガスを救う。

故郷の人々とは和解できず、わだかまりは残った物の己の父親と少しは分かり合えたアンガスにほっと一息。


一方、楽園から身を投げた「俺」はラピス族に救われ「アザゼル」いう名をもらう。剽軽で道化の役割を担うクロウ。ラピス族の首長、ブラックホーク。クロウの姉であり戦士のペルグリン。無口だが情の厚いウォロック。そして、歌姫・リグレット。初めて人として扱われる日々。温かな言葉。受け入れなければ分からないという寛容な心にアザゼルの心は満たされ、次第にリグレットと互いに惹かれ会っていく。

クロウを救うために狼と精神波で会話し、英雄となり一族に認められ、一人前となったアザゼルの元へ懐かしいガブリエルが訪れる。しかしガブリエルは心縛され、その体には新しくツァドキエルとなったハイブリットだった。そしてアザゼルは強制的に楽園へと連れ戻されることになる。


ぶっちゃけ、ここまででかなり濃厚。これで一冊分くらいありそうだけれど、現実には未だ三分の二くらい。物語はまだ続く。


久々にバニストンへと戻ったアンガス一行は顔を出したエイドリアンの元でかつて死んだと思われていたウォルターが町で地図屋を営んでいることを知る。しかもウォルターはセラと婚約していて・・・。ウォルターと感動の再会を果たしたアンガスは歓喜の園への地図がスペルだと諭すが、ウォルターは歓喜の園へと行くと聞かず。かくして一行は歓喜の園へと向かうことになる。そこにはいつも通りのメンバーと共に同行するセラの姿が。久しぶりに再会したセラは美しい女性へと成長していた。

そして洞窟へと案内するベンを雇い、地図に記された歌の謎を解き、進んだ先には歓喜の園、聖域があった。そこで発覚する、ウォルターとベンが操られていた事実。しかも、操っていたのはかつて「アザゼル」を聖域へと連れ帰った天使、ツァドキエルだった。さらにセラは人質であり、かつてレッドに攫われたカブト族の歌姫・ホーリーウィングだということをアンガスは推測から導き出していた。ツァドキエルは姫に解放の歌を歌うことを強要する。

拒絶した姫にツァドキエルことウォルターはアンガスを拳銃で打ち抜く。その絶望にセラが声を取り戻したが都合が良いとツァドキエルが利用しようとする。そして、セラが絶体絶命のその時、ジョニーが追い求めていたレッドと攫われたはずのコル族の歌姫・ドーンコーラスが現れる。袂を分かったツァドキエルとレッド。そこで解放の歌を歌おうとするセラの元にジョニーと先程撃たれたはずのアンガスが現れ、その場を納めることに成功する。


一方、強制的に楽園へと戻されたアザゼルは下級天使達が暴動を起こし何人もの天使が命を落としたことを知る。さらにガブリエルはアザゼルの起こした事態を罪と考え「解放の歌」(リペルタカンツゥス)「鍵の歌」(クラヴィスカントゥス)を歌い続け人形とかしていた。そこでウリエルは選択を迫る。アンガスは「解放の歌」と「鍵の歌」を歌うことを決意する。

そして、体を行使して歌を歌い続けていたアザゼルはレミエルと自動人形となっていたミカエルに救われ、ジャイロに乗って一路大地を目指す。何とか大地へと降り立ったアザゼルはオルクス族のファングに命を救われる。彼から「大地の鍵」の祭りが行われるという話を聞き、アザゼルはオルクス族と共に会場へと足を伸ばす。ついた先でクロウやペルグリン、ウォロックなど懐かしいラピス族の面々と再会する。そして、会いたくて堪らなかった、リグレットとも――――――――。


故郷での過去と現実に対峙するアンガス。痛々しいけれど何度でも立ち上がる彼の姿にはほれぼれとします。アンガスの言っていることは理想論だけれど、彼の頑張りを見ていると努力が報われて欲しいとしみじみと感じます。最後の展開には度肝を抜かれ、無事だったと分かったときにはホッとしました。そして、ついに声を取り戻したセラ。あれ、彼女ってこんなキャラだったの?ってくらい喋り方が独特で驚きました。まあ、可愛いから良いんですが。


それと、「俺」ことアザゼルの物語の一気に面白くなってきた。恐らく、アザゼルは過去の人間なのだろうとは想像がつく物の果たしてどうなるのか。それにしても読めば読むほど姫=リグレットという気持ちが雁首をあげる。実際どうなんだろ? 最後にふたりは結ばれるのか?


一応、まとめてみた物の天使が何代目の誰なのかちょっと分かりづらいのが少し辛い。というか天使が誰が誰だか分からなくなる。横文字苦手。それにしても世界観がすごい。横だけでなく時間軸としての縦も厚い。ものすごいパワーを秘めた作家さんだと思う。二つの物語の終着点がますます楽しみ。




【“本の姫”は謳うシリーズ】その他の感想
第1作 「“本の姫”は謳う〈1〉」



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初読み、岡田陸さん作品。


1億円の契約書を待つ締め切り直前のオフィス、下剤を盛られた子役、別れを画策する青年実業家、待ち合わせ場所に行き着けない老人、警察のOBたち、それに・・・・・・。真夏の東京駅、28人の登場人物はそれぞれに、何かが起きるのを待っていた。迫りくるタイムリミット、もつれあう人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが倒れてゆく! 抱腹絶倒、スピード感あふれるパニックコメディの大傑作!!


裏表紙より引用


裏表紙の内容に惹かれてページをペラリ。そして驚く登場人物の多さ! 全28人の登場人物達による簡易の紹介と一言。じっくり読んで頭に入れてから読み進めるとより楽しめると思います。


OL、子役、上京してきた老人、警察のOB、ミステリー研究会の学生達、来日中の監督とそのペット、そしてテロリスト。多種多様な人物達が「東京駅」を舞台にじわじわと絡み合っていく。登場人物があまりにも多いので混乱しないか心配しつつ読み進めた物の、意外とすんなり物語に入り込めました。登場する人物達は皆、個性的で印象深く、それぞれの視点で物語は進む。やがて彼らは偶然に引き寄せられ、東京駅に集合し、どたばたコメディーがスタートする。


一見何の接点もないような人物が関わっていく様はドミノのようで読んでいて痛快。息つかせぬ展開、次々と移り変わる視点であっても読者を飽きさせない描写力には舌を巻きました。ああ、楽しい! かくいう私も時間を忘れて読み込みました。


本来ならありえない展開にニヤニヤしたり、唸ったり。この題名と表紙の絵は見事です。読了感が爽やかな一冊でした。ただ、俳句会の人達や元ヤンのOLのその後はどうなったのか気になるところ。軽快なエイターテイメントが読みたいときにオススメな一冊です。




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妖怪アパートシリーズ、第1巻。


共同浴場は地下洞窟にこんこんと湧く温泉、とてつもなくうまいご飯を作ってくれる「手首だけの」賄いさん―十三歳で両親を失った俺が高校進学と同時に入居 したのは人呼んで“妖怪アパート”!次々と目の当たりにする非日常を前に、俺の今までの常識と知識は砕け散る。大人気シリーズ、待望の文庫化。


裏表紙より引用


以前に図書館で借りて一気読みしましたが、文庫化となったので手元に置いておきたくて購入。ついでに久々に読了したくなったのでブログへと。タイトルに「妖怪」とついていますがおどろおどろしい内容ではなく、軽快でほのぼの、時にシリアスと読みやすい。改めて読み直すとここが妖怪アパートの原点なんだと感じました。


主人公の夕士は両親を亡くし、親戚の家にいたもののそこは安らぐ場所ではなく早く家を出たかった。何より、その家にいた女の子は受験でピリピリとし、夕士の人となりではなく男というだけで嫌悪していたからだ。そこで必死に勉強して寮のある商業高校に入学したものの、入学直前に寮が火災で焼けてしまう。ようやく家から出られるというところでの火事。しかも唯一友人の長谷にはこれから頑張る、と誓った後で、頼りづらい。絶望の中にあった夕士に男の子がささやきかける。あそこの不動屋さんが良いところを紹介してくれる、と。そして紹介されたアパートは格安! 半年後には寮に移るんだったら試しにどうだと言われ一にも二にも夕士は半年という契約でアパートへと住むことになる。


そのアパートが何とも言えず曲者揃い。人間より人間らしい妖怪やら、人間なのか妖怪なのか怪しい人間と、ちょっと変わった人間達に囲まれながら過ごす日々。常識をぶち壊され、何やら色々見えているけれど、そこで過ごす日々は両親が亡くなった後、頑なだった夕士の心を少しずつ解し、癒されていく。


何が普通で、当たり前なのか。簡単そうに軽く触れられていることが実は奥深い。価値観について改めて考えさせられたような気がする。現代は人間関係が希薄にっている。そんな中で、妖怪と人間が自然に溶け合っている妖怪アパートは温かく、心地良い。


そして、クリの話には思わず涙。親子の情、血縁とは何と深く悲しいものなのだろう。クリ可愛いよクリ。いつか母親が成仏し、クリが成仏する日が来て欲しい。


個性的な登場人物(+妖怪)達は善いもので、夕士に害はない。何より美味しそうなるり子さん(手首だけの妖怪)の作り出す料理の数々が本当に美味しそうで思わず咽が鳴る。るり子さん、家に来て料理作って欲しい(笑) このるり子さんの料理本も出てるんですよね。気になっているものの、欲しい本がありすぎて今のところ買えず。いつか絶対買う。


特に笑い、涙し、飽きる暇のない妖怪アパート。約1時間くらいでさくっと読めてしまうのも魅力の一つ。半年後、アパートに帰ってきた所で物語は一旦終了。さーて続きを読まなければ。




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グリムス1本目も大人の木となり、現在二本目成長中。大人の木の画像とっといたんですが、左側何故蝋燭がついているのかさっぱり分からなかったり。何故? まあいいや。右側の画像は10日目の時のもの。偶にグリムスのフォトギャラリーで見かけてたのですが、10日目だと地球から飛び出す画像になるらしい。

あ、ついでにグリムスキーワード「絶滅動物」。グリムスのメルマガでヒントが載っていたので多分あっているかな。折角なので絶滅動物について調べてみたら面白いサイトを発見。

宮川アジュさんの「戦え絶滅動物」

上記のサイトでは絶滅動物と絶滅危惧種を粘土とイラストで紹介されていて、とっても見やすく可愛いです。世界の地域別で調べられるので面白い。にしても既に121種類も絶滅してるんですね。知らなかった。日本の絶滅動物といえば=トキの印象が強い。ちなみに2003年10月10日に日本産のトキは絶滅。ニュースでよくやってたイメージがすごくある。絶滅危惧種は5種。イリオモテヤマネコ・タンチョウ・ダイトウウグイス・ニホンカワウソ・ヤンバルクイナ。聞き覚えのある名前ばかり。ちなみにタンチョウ、うちの地元で見られたりする。



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上の画像が2本目。丁度七夕の季節だったので背景が短冊と笹。本当は7日過ぎてたんですけど、しばらくの間七夕でした。うむ可愛い。

そして左からにょきにょきと成長中。いつの間にか成長が早くなりました。二本目だから?



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初読み、三浦しをんさん。


まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc。 ――――ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。


裏表紙より引用


三浦しをんさんの作品は読みたいものが積み重なって沢山ありますが、何はともあれと一番気になっていたこの本を手に取りました。


かなり手応えのある文章と内容で想像以上に読み込めました。味わいのあるユーモアを交えながら、バランスよく配置されたキャラクターたちが個性的で小気味良い。


主人公は、多田というバツイチの便利屋と、真冬の寒い日にバスのベンチで再会したかつてのクラスメートの行天。この2人のコンビ、元々高校の同級生だったけれども特に親しいわけではないけれど、とある因縁により一度も卒業後にあっていなかったけれど、久々に出会ってからやむなくコンビ結成。


複雑な心境で行天を自分のテリトリーに入れる多田だけれど、行天の変貌ぶりに首をかしげることに。高校の頃は無口で無表情で何を考えているか理解できなかった行天が真冬にサンダル、行動はまるで猫と変な大人に成長。行天の行動が理解できずいらっとしたり呆けたり、嘆いたりする場面が多々あるものの、何だかんだでいいコンビになっていく。


他にも沢山の登場人物が登場するけれど、どの人物も個性的。憎めない行天も好きですが、ルルと由良がも好き。各話で独立しているのかと思いきや、しっかり伏線が張られていて面白い。中でも印象に残ったのは由良へと向けた多田の一言とやり直すことについての想い。多田格好いい。物語が進む内に見えてくる行天と多田の過去や想い、絶妙なコンビプレー、そして徐々に2人が交流を深め、お互いを理解していく過程は面白い。男2人の友情話。良い味出てます。映画にもなるとの事で、どんな映画になるかが楽しみだけれど、あまり原作の雰囲気を壊して欲しくないなあ。




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時代小説、「妻は、くノ一」第6巻。


織江が実の娘であることを知った松浦静山。だが静山は、織江にそれを知らせぬまま、ひそかに守りつづけることを決意する。一方、織江は江戸の市中に潜み、 母の死、そして一生追われ続けるという過酷な運命に打ちのめされ、酒に溺れる日々を送っていた。時には死すら、頭をよぎる―。そんな織江を捕らえるため、 新たな刺客が放たれた。「夜に溶ける」と噂される不気味な忍の正体とは? 大人気シリーズ、緊迫の第6弾。


裏表紙より引用


前巻、衝撃の事実と第殺劇にて襲撃したその後、果たしてどんな話になるのかと楽しみにしながら手に取った。やはり、織江の父親は静山公だったんですね。しかもそれを知らせずに密に織江を守ろうとする辺りが静山公らしい。


今回も事件を彦馬が少しずつ解決しながら物語は進む。突然金遣いの荒くなった商人の謎や幽霊事件、巨石につぶされた 老人の秘密を見抜いたりと相も変わらず忙しい日々を過ごす彦馬。そして、そんな彦馬に影響されたのか織江も潜伏先での謎の事件を解決する。暫く会っていないのに似たもの夫婦なふたりに少しほっこり。前巻が殺伐としていただけに嬉しいです。果たしてふたりはいつ再会するのか。そして再会したら終劇、というオチは勘弁して欲しいところ。


それと同時に今回はひやっとした場面が。織江の母・雅江の墓に見張られているからやめろ、という静山公の言葉は分かっていたが一度と彦馬が墓へ。良くも悪くも鳥居耀蔵がそこで墓参りをしていたおかげ?で墓地には入らなかったもののそこで見張っていた宵闇順平に身元がばれ、しかもここには織江が来るかも知れないと監視される。偶々川村が出ていたおかげで事の次第は発覚していない物の、彼が「妻恋町にひそむ」と伝言を頼んでしまっている辺り次巻以降どう話が動くのか。


そして、そんな長屋に織江が・・・・・・。そこで宵闇順平の居場所が判明する理由に悲しくはなった物の、最後には織江は殺されそうになる、というところでまさかの加勢。しかも加勢したのは彦馬の養子・雁二郎。実は雙星家は表と裏があり、雁二郎は裏。しかも忍びとは。確かに14歳が33歳に見えるという設定に笑いながらも首をかしげていた節があるので分からなくもないけれど、正直それってどうなのとちょっと微妙な印象。うん、まあ、面白いから良いんだけどね?


個人的には船に乗った彦馬の操舵術が褒められ、若い侍が目を輝かせていた描写が好き。彦馬の海に出る姿をもっと読みたい。今後、静山公が作るという幽霊船にて増えそうかな。




【妻は、くノ一シリーズ】その他の感想
第1作 「妻は、くノ一」
第2作 「妻は、くノ一 (2) 星影の女」
第3作 「妻は、くノ一 (3) 身も心も」
第4作 「妻は、くノ一 (4) 風の囁き」
第5作 「妻は、くノ一 (5) 月光値千両」



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初読み、伊吹幸太郎さん作品。


八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは? 今日を生きることの意味を知る物語。


裏表紙より引用


小惑星が地球に衝突し、地球が滅亡するまであと3年。当時の混乱で家族や恋人を亡くし、諦めたかのように暴動や凶悪事件が治まった束の間の小康を生きる人達のお話。短編集の形で8話ほど。残り3年という時間軸で物語が展開するもの考えさせられる。後、3年なのか。あと3年も、なのか。


小惑星が地球に衝突して滅亡、という設定はちょっと無理があるかもしれないけれど、(後書きにも書かれていたように)だからこそ描かれる確実に辿る「死」について考えさせられる作品だった。残された人生の中で彼らが生き、自分自身の価値観を持って生きようとしているのかがリアルに伝わってきた。最後の瞬間までがむしゃらに生きようとする姿には胸にくるものがある。


話の内容は重々しいけれど、軽快なテンポで勧める会話や独特の雰囲気で書かれる心情がいい。全8編あるけれど、全て前向きな姿勢で生きようとする姿にも終末にもかかわらず、ほんわりと胸が温かくなる。


どの短編もそれぞれパンチの効いていて、読み応えがある。個人的にお気に入りの物語は「太陽のシール」「鋼鉄のウール」「演劇のオール」。また、心に残る台詞が数多くあり、普段は当たり前過ぎて意識しない生きることについて深く考えさせられた。


短編に登場するキャラクターは、別の短編にも登場するのも面白い。連鎖的に広がる物語が、人々の世界を大きく構築している。終末とは思えないほどのんびりとしたような雰囲気やどこか飄々としながらも温かい登場人物達。自分だったらどうする、と終末について考えてみるものいいかもしれない。




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「バッカーノ!」第12巻。2000年代突入!


私の名前はコピーキャット(模倣犯)。私は単なる模倣犯。私はしがない犯罪者。さあ、繰り返そう、繰り返そう。あの事件を繰り返そう。あの時の事件を真似しましょう。観たかったものを観る為に―。フィーロとエニスの『新婚旅行』に同行し、チェスは日本に向かう豪華客船に乗り込んだ。太平洋上のど真ん中で同型の双子の船とすれ違うイベントもある超豪華客船。その船に乗り合わせたのは、ハリウッドスターやスタントマンの少年、密航者の子供達に加え、船を占拠し始める謎の集団と彼らを追う『猟犬』など。だがチェスを追いつめるのは、どこか感じる『違和感』だった。その正体は―。


カバーそでより引用


2000年代2冊目でようやく1930年代主要メンバーが登場。また、不死者ではない個性豊かな1930年代のメンバー達の子孫が次々と現れるので読んでいて面白く、また嬉しい。いつの時代でも変わらず登場する不死者たちと、世代交代している人たちが同居する様は長い時代の流れを織り込んだこの物語ならではのおもしろさだと思います。


新婚旅行を楽しむフィーロ一行、シージャックをする如何にも悪役な武装集団、 訳ありなティンガロンハットの腕利きガンマンに、密航中の不良少年達、双子の映画スター、怪しげな宗教家と一癖も二癖もあるキャラばかり。また、前巻からの伏線、「仮面職人」も登場し(といっても年代が違うので登場人物は代替わりしてますが)、舞台は双子の豪華客船で幕を開ける。


ようやく報われたプロシェンツォ夫婦でほのぼのさせながらも、盛り上げる所は盛り上げてます。やっぱり好きです、フィーロとエニス。しかしフィーロのヘタレぶりは相変わらずであり、今回企画した新婚旅行を「家族旅行」と言い張ってしまう辺りがらしいです。また、その家族に入り込んでいるチェスも2001年の出来事で大分壁が薄れ、より自然に接していることが嬉しい。チェス君このまま幸せになって欲しい。この家族が実に微笑ましくて楽しいのだが、結婚式にて一騒動あったとのことらしいのでその辺りもいつか書いて欲しい所。


そして登場する子孫達。マルティージョファミリーの縄張りで悪事をはたらくボビーと仲間達。彼はジャグジーとニースの曾孫であり、バッカーノ一巻で登場した日本人のカメラマンのカメラを盗んだのも彼らの所業。まさかここでもう一度カメラマンの彼を登場させるとは思わなかったので、嬉しい誤算。ちゃっかりフィーロの言葉にも出してましたし。


また、クレアこと、フェリックス・ウォーケンとシャーネの曾孫、クローディアとシャロン。彼らが双子の映画スタートして登場。クローディアはクレアにそっくりであり、シャロンはシャーネ+子供の頃に過ごし、キースに憧れたせいか無口に拍車を掛けている事には笑った。また、物語には登場していないものの、クレアもシャーネも存命とのことで嬉しい限り。


物語の加速するテンポの良さのおかげで一気に読めました。Asideはこの後のBsideへ繋がる展開ですが、それでも十分に面白いです。今回も新たな登場人物達を絡めて群青劇。これらの伏線をどう回収するのか楽しみ。




【バッカーノ!】シリーズその他の感想
第1作 「バッカーノ!―The Rolling Bootlegs」
第2作 「バッカーノ!1931 鈍行編―The Grand Punk Railroad」
第3作 「バッカーノ!1931 特急編―The Grand Punk Railroad」
第4作 「バッカーノ!1932―Drug & The Dominos」
第5作 「バッカーノ!2001―The Children Of Bottle」
第6作 「バッカーノ!1933〈上〉THE SLASH クモリノチアメ」
第7作 「バッカーノ!1933〈下〉THE SLASH クモリノチアメ」
第8作 「バッカーノ!1934 獄中編―Alice In Jails」
第9作 「バッカーノ!1934 娑婆編―Alice In Jails」
第10作 「バッカーノ!1934 完結編―Peter Pan In Chains」
第11作 「バッカーノ!1705―The Ironic Light Orchestra」



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のんびりなので更新は遅いと思いますが、ちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。

【追記】かなり更新空いてすみません。体調不良と多忙でブログを書く気力がorz またぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします。
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