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超雑多感想所。お暇なときにでもお立ち寄り下さい♪ 感想はネタバレしています。まだ読んでいない、プレイしていない方はご注意を!
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守り人シリーズ、第1巻。


老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。


裏表紙より引用


大好きな守り人シリーズ。久々に再読。もう何度読んだか分からないくらい再読しています。しかし本当に久しぶりに読んだ為新鮮に読み終えました。精霊の守り人を読みたくなるとアニメの方をよく見ていたりしていた為、アニメと原作の違いを見つけながらというのも面白かった。


女用心棒という職に就いている主人公・バルサが本当に格好いい。これ程の強さと冷静さを兼ね備えるには30代という年齢にも納得。また、戦闘シーンのキレの良さが堪らない。短槍を自在に操り無駄のない、思い切りのある動きが目に浮かぶよう。


また、バルサの脇を固める登場人物達も人間味があり、リアルでいい。今回精霊の守り人として選ばれた王子「チャグム」、幼馴染みで薬師の「タンダ」、そしてヤクーの呪術師「トロガイ」。特にチャグムは「旅人シリーズ」の主人公としても登場する、もう一人の主人公。自分の運命を呪いながらも現実として受け止め、悩み、苦しみながらも地に足を付けて歩み出し成長する姿は読んでいて清々しい。最後、バルサとの別れのシーンは何度読んでも目が潤みます。


そして、幼馴染みのタンダ。このタンダとバルサの信頼し合い、つかず離れずな関係がいい。中々地に足を付けないバルサを癒し、見守る姿はまるで武人の妻(笑) 確かアニメの方にもこういう台詞があったような気がする。タンダとバルサの関係って本当に性役割の逆転のような印象。けれど、女々しいわけではなく、時折苦言を呈す辺りが良い味出てます。


濃厚で厚みのある世界観と民族や文化、政治体制や風土、気候なんかが精密に描かれているので、本当に何処かに存在しているように描かれているのがまたいい。しかも詳細にこてっと書かれているわけではなく、話の中に混ぜて書かれていて読みやすい。恩田陸さんの解説にもあった通り、まさに「私たちは、母国語で読める、しかも私たちが読むべきファンタジーにやっと巡りあったのだ」その通りだと思います。児童書ですが、大人も楽しめるファンタジー。




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第61魔法分隊シリーズ、第1巻。


王都から異動により、のどかな田舎町へやって来た一等契法士ロギューネ。町の治安を守る61分隊に副隊長として着任する彼を待っていたのは、つかみどころのない隊長ニルスをはじめ、性格が正反対のシュナーナとデリエル姉妹、謎の生物を肩に乗せたキキノといった奇妙な面々。そして、穏やかな町での一見、退屈な勤務だった。しかし、その背後では、王室と議会の『凍土緑地化計画』が着々と進みつつあった。やがてくる町の破局。そして、それぞれの過去と、町に隠された秘密が、明らかになっていく・・・。


カバーそでより引用


初読み伊都工平さん。風邪を引いて寝込んでいるときに食糧と薬と共に暇だろうし読む?と貸された作品だったり。貸してくれた友人に感謝。


技術の発達により魔法が不必要になりつつある世界を舞台に第61魔法分隊の活躍を描くヒロイックファンタジー。初めは明るいコメディ調かと思ったのですが・・・・・・。


ファンタジーで魔法ものですが、1巻の段階では大がかりな魔法は登場せず、魔法の使い方がSFものっぽい印象。また、「魔法分隊」といっても既に国家としては必要としておらず、軍隊ではなく、各地に設置された「警察」の意味合いが強い。なので、分隊が刑事のような印象。


それと、魔法の使い方が独特で魔法戦での戦い方が面白い。力の使い方が圧倒的ではない辺りも結構好み。ただ、少し説明不足なせいか自分で想像して補うしかない辺りがちょっと辛い。雰囲気だけでも楽しめてはいる物の、魔法杖の構造がいまいちしっくり来ず分からない。カリス教団が今後どう絡んでくるのかも気になるところだし、その辺りを含めて今後の展開が楽しみ。


ただ、まだ1巻なのでちょっと急ぎすぎな印象と説明不足がちらほら。「凍土緑地化計画」という語録が出ている割にその土地についての説明がなかったのであれ?と思ったり。最後にどんでん返しでいろんな事が判明するのですが、どんでん返しというよりも唐突に現れた印象が強かった。1巻売れたら続巻、とかだったのかな。2巻以降はもう少し展開をかみ砕いて欲しい。(既に完結している作品ですが 苦笑)


登場人物達もそれぞれ味があって好きですが、シュナーナとデリエルの確執が今後埋まるのか気になる所。それにしても、第61魔法分隊にデリエルたった一人だけ残して大丈夫なのかと少し心配。果たして今後どうなるのか。次巻が楽しみ。




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時代小説、「妻は、くノ一」第8巻。


神田明神近く、大通りの外れにいつのまにかできたごく庶民的な飲み屋「浜路(はまじ)」。ほっこりとした女将を目当てに、鳥居耀蔵や同心の原田は常連となり、彦馬も連れられて度々足を運んでいた。追っ手の影を恐れ、彦馬の周囲に注意を払っていた織江は、彦馬が訪れるその店の正体を知る。そこには、思いもよらぬ苛酷な運命が待ち受けていたのだった。ついに静山の幽霊船貿易も始動し、江戸はにわかにざわめく。大人気シリーズ第8弾!


裏表紙より引用


いや~面白かった! 今巻はかなり物事が動いた巻だったように思います。今まですれ違っていた登場人物達が急速に接近し始めました。その火付け役となったのが第3の刺客、浜路が今までの刺客とは異なり変装して女将になりすまし、飲み屋を営んでいる辺りから面白い。初めは織江が変装して営んでいるのかと思いましたが、そんなに堂々と姿を現せるわけがないですよねorz


この浜路、織江の母・雅江とかつて競い合ったくの一ということで織江とも面識があり結構親しい仲だけに相対したときは悲しいような、切ないような。けれど流石雅江と競ったくの一。今まで何とかごまかせていた彦馬と織江の接点をついに見つけられてしまう。


そして、この浜路が営む居酒屋で、鳥居耀蔵が彦馬と出会い、川村も「織江の男」の彦馬の姿を見て嫉妬と織江への憎しみと執着を強めたようで・・・いつか彦馬が暗殺されないか不安だ。それにしても静山公の行動の早さと演技力には目を見張る。そこまでするんですか静山公、流石です。


また、出会うことはなかったけれど最後に彦馬の家に置かれていた短冊に「いつの日か」と書かれており彦馬と織江の2人が出会う日も近くなってきたのかな、と思ったところで珍しく後書きが書かれており、後2冊で完結だとか。全10巻講成になるんですね。果たして最後はどんな終わり方になるのか。楽しみなような、終わってしまうのが寂しいような。何はともあれ続巻は12月発売予定だそうです。今から楽しみ♪




【妻は、くノ一シリーズ】その他の感想
第1作 「妻は、くノ一」
第2作 「妻は、くノ一 (2) 星影の女」
第3作 「妻は、くノ一 (3) 身も心も」
第4作 「妻は、くノ一 (4) 風の囁き」
第5作 「妻は、くノ一 (5) 月光値千両」
第6作 「妻は、くノ一 (6) 宵闇迫れば」
第7作 「妻は、くノ一 (7) 美姫の夢」



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初読み、太田忠司さん。


名古屋に暮らす高校生・甘栗晃は、突然亡くなった父親の代わりに、探偵の仕事をすることに。依頼は、ナマイキな小学生・淑子(としこ)の母親探し。―美枝子(みえこ)は鍵の中に? 謎めいたこの一言だけを手がかりに、調査を始めた晃は、初めての「出張」で、大都会・東京へ。慣れない街に四苦八苦しつつ、謎を解こうと必死の晃だが、衝撃の事実を知り!? 太田忠司が贈る、とびきりの青春ミステリ!!


裏表紙より引用


タイトルとミギーさんの絵に惹かれてジャケ買い。タイトルが「甘栗と金貨とエルム」とまるでファンタジーのような印象がありますが、ジャンルは青春ミステリー。


初めは主人公・甘栗君の口調が堅苦しくて慣れるまで少しかかりましたが、友人である直哉が登場し、甘栗君の周りの環境や人柄が見え始めてからは徐々に物語に引き込まれた。ペースを掴めれば一気に読了。


小さな女の子・淑子(としこ)の母親探しという依頼を受けていた父親が亡くなり、急遽代理で探偵稼業を引き継ぐこととなった甘栗君。甘栗君は年齢の割に落ち着いているものの、背伸びをしている表現も描かれているのがちょっと笑えたり。ちょっとひねくれ者ですが一本芯があるのも好印象。


謎解きは手がかりを見つけつつ、少しずつ確実に父の跡を継いでいっている辺り、何だかんだ言っている割には甘栗君お人好しだなとにやにや。派手さや圧倒的なものはないものの、最後には驚く展開が。読了感も良かったです。次第に探偵としての素質に磨きがかかり始める辺り、続巻に期待。どちらかといえばミステリー要素よりも青春部分を楽しんで読み込んだ。


物語のテンポも良く、関わっていく事柄によって変化し始める甘栗君の心変わりもいい。直哉や三ケ日(みつかび)の高校生達が今後どう動き始めるのか気になるところだし、エルム(淑子)もまた登場して欲しいところ。


また、描写も丁寧で読み応えがあった。舞台である名古屋の日常風景や食事風景なんかはその場面が目に浮かんでいくるよう。名古屋に縁のある人はより楽しめるかも。既に続巻である「甘栗と戦車とシロノワール」が発売されているので、内容が気になりつつも気長に文庫化を待ちます。


太田忠司さんの本は初めて読みますが、調べてみるとミステリー物を多く書かれている作家さんなんですね。他のミステリー物もあらすじを読むと面白そうなシリーズ物があったので今度手に取ってみようかと。



ちなみに右が単行本のイラスト →
個人的にはこちらの表紙の方が好きだったり。折角なので載せときます。ミギーさんのイラスト、美しすぎます。











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しゃばけシリーズ第2巻。


きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり・・・。でも、こんなときこそ冴える若だんなの名推理。ちょっとトボケた妖怪たちも手下となって大活躍。ついでに手代の仁吉の意外な想い人まで発覚して、シリーズ第二弾、ますます快調。


裏表紙より引用


今作は一つの謎を追いかけていた前作「しゃばけ」と違い、全6編を含んだ短編連作集。世界観にどっぷりつかり込める長編も好きですが、いろんな味を楽しめる短編も好きです。初読の時は長編から短編集に変わっていて肩すかしを喰らった気分でしたが(笑)、読み進めるうちに短編集も好きになりました。読みやすいですし。むしろこのシリーズ、短編の方が面白いような? と感じることも多々あったり。それぞれ味のある短編が面白くて好きです。


個人的にお気に入りの話は「空のビードロ」。前巻から気になっていた一太郎の兄、松之助視点の物語。最後に自分を支え続けたビードロが若だんなと繋がり、母が亡くなってから自分を思ってくれている存在がいたことに気付いた松之助の心情を思いやるとほろり。それまでの彼の経歴を知った後では特に胸に来ました。それと「兄さん」と呼び慕う若だんなの姿勢も好きです。本当にいい兄弟。彼にはこれから幸せな人生を歩んで欲しい。


また、「仁吉の思い人」と「虹を見し事」の2作は切ない。「仁吉の思い人」では仁吉の恋!と若だんなと一緒に興味津々。そして仁吉が千年もの長い間片思いをしていることがわかり切ない。千年もの長い間想い続けられることもすごいが、そんな仁吉に負けず劣らず皮衣様が人間として転生する鈴君を待ち、探し続けられることもすごい。仁吉の想いに気付いていても関係が崩れてしまうことが分かっている皮衣様は仁吉の想いを口にはしない。どこまでもベクトルが向かい合わない2人が切なく、甘酸っぱい。


また、「虹を見し事」では仁吉と佐助がそっけなく、妖怪達が唐突に消えて寂しい若だんなの周り。けれど妖怪達がいなければ、兄達が過保護でなければあり得たIFの世界。そんな中、己自身に向き合い学び取っていく姿が切なくも清々しい。誰かの夢の中にいるのだと気づき、誰の夢かを見破った後、まさかそんな話の展開になるとは。おまきが不憫でならない。また一歩、若だんなが前に進んだように思えた一作でした。


病弱でも強くなろうとする若だんなの成長が読み終わるごとに感じられて微笑ましく読み終えました。若だんなの誠実さが好きです。身体が弱くとも心の強いからこそ魅力を感じるのだと思う。また妖怪との謎解きも一作ごとに切れが増しているような? いい男に成長してます若だんな。




【しゃばけシリーズ】感想
第1作 「しゃばけ」


【畠中恵】その他の感想
つくもがみ貸します



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しゃばけシリーズ第1巻。


江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う・・・。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。


裏表紙より引用


「つくもがみ貸します」を読んでから無性に読みたくなったので再読。大筋はぼんやり覚えていた物の、忘れていた箇所が多かったので新鮮な気持ちで読み終えました。


安定した文章力と世界観、そして魅力的な登場人物達。人間しかり、妖怪しかり。中でも若だんな・一太郎のキャラクターが良い。多少世間知らずなものの、優しく思慮深く、いい男で江戸でも有数な豪商の一人息子。一見非の打ち所のない若だんなだけれども、唯一にして最大の問題が一つ。「超虚弱体質」(笑) ひ弱で虚弱な為に決めるべき所で格好良く決められないのだけれど、そこがまた魅力の一つ。体が弱いからと病に負けるでも、身内の甘さに委ねるわけでもなく、世界や己自身に向き合おうとする姿は清々しい。しゃばけシリーズの登場人物達はどこか完璧ではない辺りが好きです。


また、改めて読み直して感じたのが、菓子屋・美春屋の栄吉の存在がいかに若だんなにとって重要な存在なのか。勿論、手代や妖怪達も大切な存在ですが。同じ年頃の気の合う友人、という事も重要だけれど、もしも栄吉と友人関係を気付いていなかったら若だんなはもっと世間知らずだったかもしれないし、何より、物事の考え方や世間一般的な物事の見方など分からなかった部分も多かったのではないかと思う。両親と手代達も世間一般について教えるだろうが、大筋は教えられても細かいところは教えられないような気がするので(特に手代達は微妙に世間一般とはずれがあるので一層)。捕物帖で発揮されるの知識も栄吉からもらった物を生かしているように思う。


全体的ににほのぼのとして、劇的な展開があるわけではなく、派手さはない。けれど起こる事件は意外と凄惨で若だんなの出生の秘密にも驚かされる。穏やかさの中に悲しみや切なさがあり、優しさや暖かさ、そして笑いがある。日本の江戸という時代の裏ににある、妖しくも引き寄せられる世界観が堪らない。後を引くおもしろさが「しゃばけシリーズ」にはあるように思う。好きだなあ、しゃばけシリーズ。




【畠中恵】その他の感想
つくもがみ貸します



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絶対可憐チルドレン第5巻。


そう遠くない未来。超能力者の存在が当たり前のものになり、しかし、普通人(ノーマル)との軋轢がなくなったわけではない世界。最強の超能力者(エスパー)・チルドレンと普通人(ノーマル)の少年の淡い恋を描いた「ガール・フレンズ」編をはじめとする3篇を収録した、超能力少女育成コメディ、第5巻!


裏表紙より引用


今巻は、裏表紙にもあるとおり、コメリカ政府(誤字にあらず。そういう設定です 笑)との合同任務「ナショナル・チルドレン」、チルドレンと普通人の少年の淡い恋を描いた「ガール・フレンズ」、「パンドラの使者」の3編収録。


「ナショナル・チルドレン」では初めて海外のエスパー達が登場。コメリカ政府のメアリー・フォード中尉、ケン・マクガイア中尉。そしてエスパーキラー・グリシャム大佐。このグリシャム大佐のキャラがすごく好きです。外見はGS・美神のドクターカオスをもっと渋くした印象。「こんな話を知っているかね?」の決まり文句から始まる話が笑えたり泣けたり。


そして今巻のメイン、「ナショナルチルドレン」では彼氏が出来そうな紫穂と葵。男の子に親友が取られたと焼きもちを妬いた薫と大人げない大人達(主に桐壺局長)が色々とやらかしてくれます。3人の関係が崩れてしまうと心配な薫が可愛らしく微笑ましいやら、やり過ぎだと嘆けばいいのやら。3人の関係をより深め、掘り下げ、またそれぞれの個性が引き立った話だったように思います。


「パンドラの使者」では兵部京介、通称「少佐」が作り出した組織「パンドラ」の実態が少し見えはじめ、また、澪とコレミツが今巻で初登場。この2人、アニメを見たときから好きなコンビだったり。そして皆本により食生活改善され始めている辺りが笑えます。やはり皆本は主夫の立ち位置から逃げ出せないのか(笑)


椎名さんの作品はギャグやエロが多いのに感動話が薄れず、しっかりと骨組みのあるストーリー構成と最後のオチが秀逸。さくっと読みやすいのもまたいい。ちなみに今巻は最後におまけがあり、連載開始前の没ネーム有り。皆本が高校生で子供の頃はエスパー・今は普通の人というのがちらっとだけ垣間見られます。



【絶対可憐チルドレン】その他の感想
絶対可憐チルドレン (1)
絶対可憐チルドレン (2)
絶対可憐チルドレン (3)
絶対可憐チルドレン (4)



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しゃばけシリーズでお馴染みの畠中恵さんによる短編集。


お江戸の片隅、お紅と清次の姉弟二人で切り盛りする小さな店「出雲屋」。鍋、釜、布団と何でも貸し出す店ですが、よそにはない奇妙な品も混じっているよう。それらは、生まれて百年を経て、つくもがみという妖怪に化した古道具。気位高く、いたずら好きでおせっかい、退屈をもてあました噂超大好きの妖たちが、貸し出された先々で拾ってくる騒動と来たら・・・・・・! ほろりと切なく、ふんわり暖かい、極上畠中ワールド、ここにあり。


裏表紙より引用


舞台は江戸時代、人情溢れる深川。そこで古道具屋兼損料屋「出雲屋」のお紅と清次の姉弟が人間サイドの主人公。彼らは、『つくもがみ』が宿った古道具達を貸し出して生計を経てている。ちなみにつくもがみとは100年の年月を経ると妖しの力を携えた物のこと。


損料屋については別の時代小説で読んだ際にその存在を知りましたが、その貸し物に「付喪神」が宿っている、という設定が面白い。また、しゃばけシリーズ同様、妖怪が登場する物の、彼らは己が「付喪神」であることを誇りに思い、同時に気位が高いので人間と会話はしません。借りた先での情報収集が物語の原動力になってはいるものの、付喪神同士の会話を清次やお紅が聞き耳を立てる、というのが基本スタンス。


その為、先々で起こる問題を解決させようと付喪神達を情報収集させようとしても人間の思うような情報を入手せず、己の知りたい情報だけを仕入れてきたりと中々気難しい。勿論、欲しい情報も持って帰ってくるのですが。その点、若旦那と手代達、周りの妖怪達と一緒に問題を解決するしゃばけシリーズとの大きな差かなと。


付喪神達はその長い生からか退屈気味で、悪戯好きかつ詮索好き。ぶつぶつと互いに話している姿は可愛らしいやら鬱陶しいやら。憎めない彼らが好きです。煙管(キセル)の五位、蝙蝠根付けの野鉄、掛け軸の月夜見(つくよみ)、姫様人形のお姫、櫛のうさぎなど付喪神達もバラエティーに富んだメンバー達がそろっていて面白い。


一方、人間サイドである清次とお紅の2人の男女の機微がとても上手く描かれていて読み応えがあります。共に店を営んでいて、清次はお紅を「姉さん」と呼ぶが彼らは本当の姉弟ではなく・・・・・・。清次はお紅を好いているけれど、お紅の中にはずっと前から忘れられない人がいて。謎解きをしながら見えてくる3人の人間模様に最後の最後までやきもきさせられました。最後にはこういう展開か、いや、そうこなくては!と納得&したり顔。まあ、もう少しお紅の心変わりが見え隠れしていたらより嬉しかったかな。


また、しゃばけシリーズでお馴染みのお和尚さんやお札の事が出て来ていたりと同じ世界観だということが分かり、それも楽しめた理由の一つ。最後の最後まで世界観を楽しみながらさくさく読めました。出雲屋の日々はずっと賑やかに続くんだろうな、と幸せな読了感でした。




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「バッカーノ!」第13巻。


私の名前はコピーキャット。私は単なる模倣犯。模倣すべきは悪意と偶然。一つの世界を再現しましょう。あの時の豪華列車を再現しましょう。閉じられた世界を再現しましょう―。双子の豪華客船は未曾有の危機に瀕していた。シージャックされていくチェスの乗る『エントランス』。だが、そこに衝突しようと迫るもう一方の『イグジット』は、狂信者や『仮面職人』などの不死者を狙う輩により壊滅的状況に陥っていた。その船上に存在したモノとは―!? 惨劇のフィーロの新婚旅行の行方は―!? そして、物語は核心へと近づいていく―。


かばーそでより引用


2002、Asideからの物語の終結。2002年は「バッカーノ!1705―The Ironic Light Orchestra」を先に読んでいる方がより楽しめるような気がします。


元々は1934年同様3冊講成でCsideまであったらしいのですが、大人の事情により上下巻にて終了。そのため、200ページ分のほどと3人ほどの新キャラのエピソードが削られているそうです。(なかがきより)続巻にて未消化エピソードは出すそうですが、流石に1巻分もエピソードが削られていると少し物語の終わりが雑に感じられました。確かに1934年は3冊分で物語の収束的にはよかった物の、ちょっと量が多いと感じた分2冊だと嬉しいのですが・・・。うーん。


前巻はフィーロ一行が乗る豪華客船「エントランス」側からスタートしましたが、今巻は不死者や狂信者達が乗る豪華客船「イグジット」側からスタート。1705年に登場した「仮面職人」。赤と黒を基調としたデザインの服を着る、子供を神と崇める狂信者「SAMPLE」。ヒューイの招待で搭乗したエルマー達4人の不死者。物語は徐々に加速し、イグジットからエントランスへと移行しながら物語は急速に加速していく。


仮面職人の社長として登場したルキノ・B・カンパネルラ。社長として社員達に慕われているが、仕事としての人殺しは苦手で触感や罪悪感で毎回吐いてしまう辺りが人間らしくて好感触。バッカーノの中で彼のようなキャラクターは貴重な気がします。手品が得意で表の顔として「ルーキー・ウォーロック」というマジシャンとしての顔を持つ。ちなみにこのウォーロックはモニカの名字。また、彼は1705年に登場したモニカとヒューイ子孫であり、妻であるモニカを殺したヒューイを怨んでいるそうで・・・。その辺りの話は最後に。


また、仮面職人の組織最高戦力、死苦(しく)。「病(イルネス)」「老(エイジング)」「死(デス)」「生(ライブ)」。かなりアクの強いメンバーですが、デスは既に前巻死亡。イルネスはゴスロリ少女。元は宗教集団「SAMPLE」から贄神としてあがめられていて、かなり凄惨な過去を持つ彼女ですが、クレアの孫・クローディアによって少しずつ良い方向へ。


エイジングは喋り方が独特で筋骨隆々な美女。前巻登場時にはその独特な喋り方から男性だと思っていただけに意外でした。そんな彼女は、映画「ターミネーター」で登場したM134を片手で操ったり、もう片方の手で刃渡り30センチ以上あるグルカナイフを振り回したりとかなり身体能力が高い。ナイルの女性バージョンっぽい印象。このグルカナイフって別名「くくり刀」のこと。ONEPIECEのヘルメッポが使っていたなと瞬間的に思い出した私って・・・orz いいんだ、今かなりおもしろいから、ONEPIECE。ライブについては最後に。


結構悲惨なことをしている仮面職人ですが、全員が映画愛好者で人柄的には結構嫌いじゃないです、彼ら。というか正直、SAMPLEがあまりにも酷いので他の人達がよく見える気がするだけかも知れませんが。といっても私の中ではルネさんも怖いのですが。


宗教集団「SAMPLE」はかつてエルマーが贄神として選ばれた宗教でもあり、子供を贄神とし、己の欲に忠実に暴力の限りを行うという彼らのスタンスが既に駄目。しかも道主ブライドはシルヴィを花嫁にするとか意味不明すぎます彼。だめだ、ついていけない。生理的に受け付けません、彼ら。


そして、互いの状況を把握し、一時的にでもSAMPLE以外のメンバー全員が共闘してからの戦闘は圧倒的。一気に物語が終結していくのは読んでいて爽快。そして、マルティージョ・ファミリーに新たな用心棒と仲間が加わり賑やかに。ボビーがマルティージョ・ファミリーの英雄になるらしいので今後の彼に期待大。また、イルネスが攫われたことによりシャロンが裏(?)で本格的に始動開始、なのかな。


そして、最後の最後に現れた黒幕。ライブ(仮面職人)=解体屋(殺し屋アンジェロの仲間)=ヴィラレスク(SAMPLEの監視役)、それが同一人物であり、真の名はラブロ・フェルメート・ヴィラレスク。彼が新の黒幕。今回の騒動がヒューイの画策とはどうにも思えなかったので納得したのだけれども、どうにも謎が多すぎる。しかもモニカ殺害も彼の仕業らしく・・・。それと、ラブロとしてセラードに、フェルメートとしてチェス君に喰われている筈なので最低でも2回喰われているはずなのだがどういうこと? 本当に謎すぎる、彼。今後のチェス君の身の上が心配だ。精神的にも肉体的にも。


また、今回の一連の伏線は「1705」「2002」「1710」「1935」「2003」で共有して消化されるそうです。(なかがきより)個人的にナイルVSエイジングは見たい対決なので楽しみ。今巻で黒幕も登場し、今後の各年代がどうなるのか楽しみ。さしあたって最新刊の「バッカーノ!1710―Crack Flag」の展開が気になる所。




【バッカーノ!】シリーズその他の感想
第1作 「バッカーノ!―The Rolling Bootlegs」
第2作 「バッカーノ!1931 鈍行編―The Grand Punk Railroad」
第3作 「バッカーノ!1931 特急編―The Grand Punk Railroad」
第4作 「バッカーノ!1932―Drug & The Dominos」
第5作 「バッカーノ!2001―The Children Of Bottle」
第6作 「バッカーノ!1933〈上〉THE SLASH クモリノチアメ」
第7作 「バッカーノ!1933〈下〉THE SLASH クモリノチアメ」
第8作 「バッカーノ!1934 獄中編―Alice In Jails」
第9作 「バッカーノ!1934 娑婆編―Alice In Jails」
第10作 「バッカーノ!1934 完結編―Peter Pan In Chains」
第11作 「バッカーノ!1705―The Ironic Light Orchestra」
第12作 「バッカーノ!2002「A side」―Bullet Garden」



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初読み、柳原望さん。


博士号は取ったものの無職で大学の研究室にいる温巳(はるみ)は未来への見通しもつかないまま日々を過ごす31歳。ある日歳若い叔母の美哉(みや)が急逝し、12歳の従妹・九留里(くるり)を引き取ることに。他人に心を開かない九留里との共同生活。ふたりが近づくきっかけは「おべんとう」だった。少し(!?)ラブ入りハートフルおべんとうコメディ、軽やかにスタート。久留里のかわいさにクラクラです!!


裏表紙より引用


30歳独身男性と中学生の女の子の交流を2人の食事やお弁当を通して深めていく物語は斬新で新鮮。お互いに訳ありで、苦労や戸惑いを感じながら少しずつお互いを理解し、家族として生活していく。ハートフルなドラマ系だとは思っていましたが、予想以上にボリュームがあったので読み応えがありました。


基本的に2人の間をつなぐものは料理、お弁当、そして九留里の母親・美哉さん。美哉さんが作ったきんぴらごぼうから始まるお弁当話は微笑ましいやら、せめてご飯は入れておこうよと思うべきなのか。けれど、そんな九留里の料理の腕が上手すぎるよりはリアルかなと。あまり料理をしない温巳が懸命にお弁当をレベルアップさせようとしていく姿はいいです。そして九留里が倹約家が趣味となっていき、温巳の行動をセーブしていくのも微笑ましい。良いコンビになりそうです。


また、近年の風潮を取り入れ、2人の姿を男女のように周りが勘ぐるのは仕方がない気もするけれど、そんなに男女の仲に見えるものなのか・・・。仕方がないのかな、と思いつつも温巳が「キモイ」「不審者扱い」やら警察沙汰等扱われるのは少し悲しい。最後はちゃんと家族になってきているのがせめてもの救い、かな。


料理に関しては何だか昔母が作ってくれたお弁当を思い出しました。今は自分で作ったりしていますが、結構埋めるの大変なんだよなあと気持ちが分かったり。ちょっと料理を頑張ろうという気になりました。


九留里のイジメや父親のこと、職場の同僚からの温巳へ恋愛感情、将来始まりそうな「トラブル」とまだまだ問題が山積み。これからの展開を楽しみに次巻へ。




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のんびりなので更新は遅いと思いますが、ちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。

【追記】かなり更新空いてすみません。体調不良と多忙でブログを書く気力がorz またぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします。
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