守り人シリーズ、第4巻。
隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれた新ヨゴ皇国皇太子チャグムと星読博士シュガは、〈ナユーグル・ライタの目〉と呼ばれる不思議な少女と出会った。海底の民に魂を奪われ、生贄になる運命のその少女の背後には、とてつもない陰謀が―。海の王国を舞台に、漂海民や国政を操る女たちが織り成す壮大なドラマ。シリーズを大河物語へと導くきっかけとなった第4弾、ついに文庫化!
裏表紙より引用
守り人シリーズから少し逸脱した外伝的物語でありながら世界観はそのままに作品のおもしろさも保たれ、そしてココから守り人シリーズを全10巻の巨大な物語へと変化させたきっかけとなる、旅人シリーズ、第1巻。(一応旅人シリーズですが、守り人シリーズと合わせると第4巻)
虚空の旅人をはじめて読んだとき、何故バルサが登場しないのかと少しばかり気落ちしたことを覚えている。「守り人」ではなく「旅人」と書かれているのだから気付いても良いものだが。やはりバルサという人物が私の中で深く根付いていたと思う。文庫化となり、久しぶりに読み返すがはじめて読んだかのように新鮮に読み直すことが出来た。
狭い王宮の中に閉じこめられたあのチビ(チャグム)を明るく強い日差しのもとへチャグムを出してあげたくてという気持ちから(あとがきより)生まれたこの物語は、チャグムをサンガルという南の大国へと誘う。勿論、〈新王即位ノ儀〉という正式な使者として。そこで初めて知る王族の兄弟の絆の厚さと、陽気でおおらかな国の意外と脆いと脆い弱点。兄弟同士で争わなくても良いことを初めて知るチャグムが心の内はいかほどか。
それにしてもチャグムは14歳という年齢にして、もの凄くしっかりと成長している。思慮深く、感情のうねりをコントロールできる。けれども胸の内は熱く激しい。1巻から比べると格段と成長したチャグムの姿に安心して読むことが出来た。
皇太子の重圧と戦いつつ変わった自分を大切に成長していくチャグムの描写が良い。最後まで読み切った後なのでチャグムがどんな成長を遂げるかわかっているものの、苦悩の中にあっても心情や行動でその芯の強さが伝わってくる姿に惹かれる。
そして様々な思惑が錯綜するサンガルにて出会う王子・タルサン、王女・サルーナ。サンガル王国は血族の結束が固い。そして女性のしなやかな強さがこれでもか!と表現され、ヨゴ、カンバルとはまた違う国の有様がよくわかる。そんな彼らとチャグムにハラハラさせられながらもぐいぐいと引き寄せられる。
鮮やかに目に浮かぶような「海」の表現はまるで自身が海の傍にいるような気にさせる。守り人シリーズはファンタジーでありながら簡潔に表現され、彼らの苦悩や心情、行動の描写が豊かでリアル。息つかせぬ展開がスピーディーでページをめくる手を止められない。
最後にタルサンが告げた「薄布が嫌い」という言葉に返して心中で告げた「タルサン、自分も〈王子〉という名の薄布を被っていることに気付いているかい?」 という表現が耳に残る。ほんのわずかなセリフや仕草だけで、こちらの心をぐいとつかんでしまう不思議な高揚感。そして読了後に胸に広がる温かさ。読み進める内に彼らに一喜一憂し、応援したくなる、そんな素敵な物語でした。
【守り人シリーズ】その他の感想
第1巻 「精霊の守り人」
第2巻 「闇の守り人」
第3巻 「夢の守り人」
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髪結い伊三次シリーズ、第2巻。
材木商伊勢屋忠兵衛からの度重なる申し出に心揺れる、深川芸者のお文。一方、本業の髪結いの傍ら同心の小者を務める伊三次は、頻発する幼女殺しに忙殺さ れ、二人の心の隙間は広がってゆく・・・・・・。別れ、裏切り、友の死、そして仇討ち。世の中の道理では割り切れない人の痛みを描く人気シリーズ、波瀾の第二弾。
裏表紙より引用
1作目よりも急展開した髪結い伊左次シリーズ。捕物帖ですが、全体的に伊三次とお文の恋愛模様と伊三次と不破の信頼関係がメインになっている。
伊左次と文吉が別れた場面ではまたよりを戻すだろうと思いつつも、知らずページをめくる速度が上がる。伊左次は情に厚くいい男だけど、意外と頑固で短気。まあそこが良いんだろうけれど(笑) 特に、「菜の花の戦ぐ岸辺」において殺しの疑いをかけられた伊三次をお文が助ける話には胸が熱くなる。この話は本当に辛い。犯人を捕まえてお調べを受けるのだろうが、冤罪でこんなに傷つけられるとは・・・。
文吉とよりを戻したところで、不破との信頼関係がほつれて壊れる寸前に。その間に起こる「鳥瞰図(ちょうかんず)」では不破の妻であるいなみが事件を起こす。それを止めようと奔放する小者達が良い。初めは断る物の、渋々受け持った伊左次がほぼ事を収めたと言っても過言でない辺りが器用貧乏な彼らしい。
前巻でもいなみの過去について語られているが、仇討ちに関してはどうしてもわりきれない。勿論、仇討ちが良いとも悪いとも一概には言えないけれど、彼女が事を起こした後のことを思うとどうも・・・。しかし普段平静と笑みを浮かべているその裏で考えていることを思うと正直彼女は少し苦手。普段の彼女は朗らかで好きなのだが、時折苦手な人になる。この辺り、人物描写が上手いとしみじみと感じた。
そして最後の「摩利支天横丁の月」では、伊三次に救われた弥八と、お文の家の女中をしているおみつとの淡い恋物語が温かく明るい未来が見えたのが良かった。この時代小説は時代物だけれども現代に結びつく物があり、どの話も読み応えがあり、心に響くものがある。やばいなあ。このシリーズ、完全にはまった。
【髪結い伊三次シリーズ】その他感想
第1作 「髪結い伊三次捕物余話 幻の声」
[宇江佐真理]その他感想
深川にゃんにゃん横丁
伊左次と文吉が別れた場面ではまたよりを戻すだろうと思いつつも、知らずページをめくる速度が上がる。伊左次は情に厚くいい男だけど、意外と頑固で短気。まあそこが良いんだろうけれど(笑) 特に、「菜の花の戦ぐ岸辺」において殺しの疑いをかけられた伊三次をお文が助ける話には胸が熱くなる。この話は本当に辛い。犯人を捕まえてお調べを受けるのだろうが、冤罪でこんなに傷つけられるとは・・・。
文吉とよりを戻したところで、不破との信頼関係がほつれて壊れる寸前に。その間に起こる「鳥瞰図(ちょうかんず)」では不破の妻であるいなみが事件を起こす。それを止めようと奔放する小者達が良い。初めは断る物の、渋々受け持った伊左次がほぼ事を収めたと言っても過言でない辺りが器用貧乏な彼らしい。
前巻でもいなみの過去について語られているが、仇討ちに関してはどうしてもわりきれない。勿論、仇討ちが良いとも悪いとも一概には言えないけれど、彼女が事を起こした後のことを思うとどうも・・・。しかし普段平静と笑みを浮かべているその裏で考えていることを思うと正直彼女は少し苦手。普段の彼女は朗らかで好きなのだが、時折苦手な人になる。この辺り、人物描写が上手いとしみじみと感じた。
そして最後の「摩利支天横丁の月」では、伊三次に救われた弥八と、お文の家の女中をしているおみつとの淡い恋物語が温かく明るい未来が見えたのが良かった。この時代小説は時代物だけれども現代に結びつく物があり、どの話も読み応えがあり、心に響くものがある。やばいなあ。このシリーズ、完全にはまった。
【髪結い伊三次シリーズ】その他感想
第1作 「髪結い伊三次捕物余話 幻の声」
[宇江佐真理]その他感想
深川にゃんにゃん横丁
ちょっと江戸まで、第3巻。
旗本・桜井家に引き取られたそうび。水戸家の跡継ぎ廸聖(みちさと)(ミシェル)たちと通う学校にも慣れた頃、薩摩藩主・三女の島津爽がミシェルに憧れ編入してきた! ミシェルと男前女子・爽(さわ)&そうびの三角関係が・・・・・・!? 大江戸アバンギャルド草紙、第3巻登場!!
裏表紙より引用
現代風大江戸物語。この独特の雰囲気が大好きです。そうびと若様が相変わらず性別不明(笑) 男女逆転現代風には思わずにやり。現代風がはまりすぎて笑えた。
運動会ネタでは初のそうび手料理を満喫。所々で女の子らしい場面が入るのが嬉しい。そうびの嫉妬シーンも新鮮で面白い。止め方が格好良すぎます。どんだけ男前なのあなたは(笑)
能ある鷹は爪を隠すと言いますが、まさに若様やってくれました。スリラー落武者バージョンなど面白かった。男前な一面も魅せましたが、若様の美しさは海をも越える(笑) 果たして彼は大人になったらどういう方向に進むのだろうか。
そして、いつもとは違った一面を魅せた盗賊団「赤鴉」の事実上のまとめ役シュロの話が個人的に一番好き。シュロも好きですが、仕事をしている兄様がこれまた格好いい。また彼登場しないかな。
【ちょっと江戸まで】その他の感想
ちょっと江戸まで(1)
ちょっと江戸まで(2)
勾玉三部作、第2巻・下巻。
嬰(みどり)の勾玉の主・菅流(すがる)に助けられ、各地で勾玉を守っていた〈橘〉の一族から次々に勾玉を譲り受けた遠子は、ついに嬰(みどり)・生(き)・暗(くろ)・顕(しろ)の四つの勾玉を連ねた、なにものにも死をもたらすという〈玉の御統(みすまる)〉の主となった。だが、呪われた剣(つるぎ)を手にした小倶那と再会したとき、遠子の身に起こったことは・・・? ヤマトタケル伝説を下敷きに織り上げられた、壮大なファンタジー、いよいよ最高潮!
裏表紙より引用
4つの勾玉を探し、菅流と旅を続ける遠子。しかし菅流は勾玉が集まる度に人外化していくな(笑) また、七掬と再会し、大王の元へ勾玉を取りに行くシーンは何度読んでも面白い。勾玉を盗みに来たというのに堂々と居直る遠子は流石です(褒め言葉) 大王が遠子に惹かれた場面は何とも言えない気持ちになる。
そして、遠子と小倶那がそれぞれの立場で再会したシーンは鳥肌物。予想は付いていた物の、やはり小倶那は変わりおぞましい遠子の心の中に生きていた小倶那だった。小倶那から逃げ出した遠子と、刺されてなお遠子を思う小倶那が切なく、それでも繋がっている心の絆が胸に来る。そんな中で仲良くなっていく小倶那と菅流も微笑ましくてこのコンビも好きです。
一番好きな場面は小倶那の元から逃げ出した遠子(宮)を迎えにくる場面。不思議とそこだけを繰り返し読んでしまう。2人は完璧ではなく、悩んだり逃げたり流れに任せたりする。そんな人間臭さが良い。気持ちが通い合い、新しく始まる2人の物語が好きです。前半も好きですが、個人的には後半の方がぐっと物語が濃厚になって面白い。
親の愛は強く優しい物だけれども、小倶那母である百襲姫(ももそひめ)の子への執着は恐ろしく怖い。覚悟を決めた小倶那と受け入れた遠子の気持ちが以前読んだときよりもずっと理解できるようになったように思う。大人になって小倶那の親を思う気持ちが理解できるようになったせいかな、と。
そして空色勾玉でのあの勾玉が再登場し、帰ってきた小倶那の場面には思わず涙と共に自然と笑みがこぼれた。歓声を上げて駆け寄ってきた部下達と最後の菅流の言葉に思わずにやり。日高見に残った最後の勾玉は最後の3作目で登場かな? 空色勾玉は結構内容を覚えていたのですが、白鳥異伝と薄紅天女は完全に覚えていないだけに3作目を読むのがより楽しみ。
【勾玉三部作】感想
第1作 「空色勾玉」
第2作 「白鳥異伝 上」
【荻原規子】その他感想
【RDGシリーズ】感想
第1作 「RDG レッドデータガール はじめてのお使い」
勾玉三部作、第2巻・上巻。
双子のように育った遠子(とおこ)と小倶那(おぐな)。だが小倶那は〈大蛇の剣〉の主となり、勾玉を守る遠子の郷(さと)を焼き滅ぼしてしまう。「小倶那はタケルじゃ。忌むべきものじゃ。剣が発動するかぎり、豊葦原(とよあしはら)のさだめはゆがみ続ける・・・」大巫女の託宣に、遠子がかためた決意とは・・・? ヤマトタケル伝説を下敷きに織り上げられた、壮大なファンタジーが幕を開ける! 日本のファンタジーの金字塔「勾玉三部作」第二巻。
裏表紙より引用
ヤマトタケル伝説を下敷きに幼馴染みのように育った遠子と小倶那を巻き込んだ朝廷の権力闘争の物語。1作目よりも神と人との関わりが薄くなった世界で繰り広げられる人と神の争い。久々に読みましたが、完全に物語を忘れていたので新鮮な気持ちで読み終えた。
利発で我慢強い小倶那と勝ち気で男勝りな遠子が可愛らしい。2人は強い心の絆で結ばれ、それが当然だと思っている辺りが微笑ましい。序盤で描かれる幼い「遠子」と「小倶那」が互いに側にいるだけで幸せと描かれている分、中盤からの展開には胸を締め付けられる。
他にも多くの魅力的な登場人物が登場する。日継の皇子・大碓(おおうす)、その従者・七掬(ななつか)、三野の橘の本家の姫・明姫(あかるひめ)、遠子とは犬猿の仲の象子(きさこ)、女たらしなんだけど憎めない菅流(すがる)。特に後者の2人が初めの印象とは異なり、遠子と親密になっていく様が面白い。
また、所々で描かれている空色勾玉の物語がいい。「狭也」と「稚羽矢」がかつて冒険した物語の軌跡が功績にこう語られているのかと思うと胸が熱くなる。
必ず帰ってくると約束した小倶那が村を焼き、小倶那を殺すと決意する遠子。男でも女でも子供でもなければ、巫女となるのか、タケルを打つ戦士となるのか遠子の動向が全く読めない。また、複雑な立場から動くことの出来なくなる小倶那は果たして何を思うのか。
いよいよこれからという船出の場面で一旦終劇。一度読み始めると止められない吸引力は流石。早く下巻を読まなければ。
【勾玉三部作】感想
第1作 「空色勾玉」
【荻原規子】その他感想
【RDGシリーズ】感想
第1作 「RDG レッドデータガール はじめてのお使い」
レディ・ガンナーシリーズ、第3巻。
ローム王国行きの船上。ゲルスタン事件で知り合った少女、ミュリエルの故郷を訪問するという気楽な旅に心弾ませていたキャサリンは、偶然駆け落ち話を聞いてしまう。ロマンス小説のような一場面に、不思議な興奮を覚えた彼女だったが、まさかこの小さなエピソードをきっかけに、大がかりな宝石盗難事件に乗り出すことになるとは思わなかった! お馴染み四人の用心棒に加えて、宿敵(?)アンジェラも登場、絶好調のシリーズ第3作。
裏表紙より引用
キャサリンいるところに事件有り! と銘打ってもOKのような気がしつつ、レディー・ガンナーシリーズ第3巻は1巻で登場したアンジェラ、2巻で知り合ったミュリエル、そしてキャサリンの3人娘が大活躍。用心棒達も登場する物の活躍するのが両家のお嬢様3人なのだから恐るべし。
今巻は駆け落ちから宝石盗難事件へと発展するが、犯人が何とも言えず小物(笑) 前回や前々回に比べると少々事件としては小粒気味ですが、個人的に物語の展開が凄く好き。しかし最後に狐が捕まらなかったのは非常に残念。いつか捕まることを祈ります。
それにしてもダムーが登場し、ミュリエルがわざわざ彼のために部屋の隅に移動する場面は涙を誘う。いじらしく、本当にミュリエルが可愛らしい。それを見つめるキャサリンとアンジェラがの2人が何とも言えず良かった。
【レディ・ガンナーシリーズ】感想
第1作 「レディ・ガンナーの冒険」
第2作 「レディ・ガンナーの大追跡〈上〉」
第〃作 「レディ・ガンナーの大追跡〈下〉」
レディ・ガンナー外伝 そして四人は東へ向かう
[茅田砂胡]その他感想
【デルフィニア戦記】感想
デルフィニア戦記外伝2 コーラル城の平穏な日々
「サークル・オブ・マジック」シリーズ2作目。
真の魔法使いになるために修行の旅を続けるランドルは、邪悪な魔法のかかった老婆の彫像を手にする。悪の陰謀を阻止するため、ランドルは親友や意外な人物の力を借りて果敢に立ち向かう。(邪悪の彫像)
南のオクシタニアの町にやってきたランドルは、芝居好きのプリンスのために幻の幽霊や光を出す魔法で舞台効果の手伝いをする。しかし、その背後にはプリンスの暗殺を企てる魔の手が忍び寄っていた!(王様の劇場)
4巻内容紹介より引用
サークル・オブ・マジックは数多くある西洋ファンタジーの中でも何度も読み返しているシリーズの一つ。ハリーポッターを読み返すにはかなりの気力を使いますが、サークル・オブ・マジックはテンポ良く、時系列も結構進むのでさくっと読めます。
物語に登場する学園は、仕組みや寮などはハリーポッターの方が好みですが、魔法の使い方や主人公・ランドルの修行の旅などリアルな描写が何度読んでも胸にくる。ハリーポッター程の華美な事はないのだけれど、シンプルで簡潔に語られているからこそ、残るものがあるのだと感じる。
閑話休題。
2巻は「邪悪の彫像」「王様の劇場」と豪華2本立て。魔法学校を卒業し、修行の旅に出たランドル。邪悪な彫像で魔法学校の親友・ニックと再会し、嬉しいこともあれば、3巻へ向けての伏線も多々有り。王様の劇場は前編よりも明るく、悲しいこともあるけれど個人的にはかなり好きな話。サークル・オブ・マジックの中でも
2巻ではかなり悲しい出来事もありますが、いつも傍にいるリースが心の支えとなり、格段に成長していく。特に治癒の魔法では大活躍。真面目で一生懸命なランドルを応援せずにはいられない。魔法は万能な物ではなく、出来ることと出来ないことがある。この魔法に対する考え方や使い方が本当に好きだと改めて感じた。
【サークル・オブ・マジック】その他の感想
サークル・オブ・マジック~魔法の学校~
守り人シリーズ、第3巻。
人の夢を糧とする異界の“花”に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼な馴染を救うため、命を賭ける。心の絆は“花”の魔力に打ち克てるのか? 開花の時を迎えた“花”は、その力を増していく。不可思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は? そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは? いよいよ緊迫度を増すシリーズ第3弾。
裏表紙より引用
久々に再読。1・2作目と比べると王宮の陰謀やバルサの活躍が小粒気味ですが、バルサとチャグムの久々の再会や、今度はタンダを助ける為に力を合わせる場面など読み進める内に胸が熱くなる。
物語のメインは人の夢を糧に生きる花とトロガイ師の過去。幻想的な風景と共に語られる夢の中は居心地が良く、過酷な現実や苦しみ、悲しみから逃げ出した人達は次々と捉えられ、その中の1人の甥っ子を助けようとしてタンダも捕まってしまう。
精神体でのチャグムとタンダの再会、そして現世でのチャグムとバルサの再会には胸が熱くなる。そして、タンダのために命をかけるバルサの思いの強さはいかほどか。
昼と夜の力を知り、その狭間に生きる呪術師の物語は息つかせぬリアリティある文章と表現力に、読めば読むほどぐいぐいと物語に引きずり込まれ、魅了される。やっぱりいいなあ、守り人シリーズ。児童書ですが、やはり大人にも読んで貰いたいシリーズです。
【守り人シリーズ】その他の感想
第1巻 「精霊の守り人」
第2巻 「闇の守り人」
大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す・・・・・・。
裏表紙より引用
高田郁さんの本は「みをつくし~」からはまって2011/06/04現在既刊分は全部読んでいたので、この銀二貫を読めば高田郁さんコンプリート。しかし、主人公が男性だったので読もうとするまでに時間がかかりました。高田郁さんの本は今まで読んできたのがすべて女性が主人公だったので。
閑話休題。
もう一つの短編集、『出世花』とは異なり、上方の寒天を商う商家が舞台の人情話。大阪天満宮に寄進するはずだった銀二貫で仇討ちを和助から買われ、命を救われた少年・鶴之輔改め松吉。恩を返すべく働くも、町を度々襲う火災が家を人を町を焼き尽くしていく。多くの災難に翻弄されながらも自身の足でしっかりと立って生きていく松吉と、周囲を取り巻く人々の温かい心がじんわりと胸にくる。
糸寒天を作り、練り羊羹を作ろう奔放する松吉と幼馴染・真帆との恋物語は長く険しいものの、最後に結ばれた様には目に涙が浮かぶ。初め出会ったときの話を最後に絡めたのもまたいい。そして、様々な困難を乗り越えついに念願の大阪天満宮に「銀二貫」を納めた場面は感無量。
タイトルにもなっている「銀二貫」。調べてみると、金に換算すると30両以上あり、米価から計算した金1両の価値は、江戸時代の各時期において差がみられ、おおよそ初期で10万円、中~後期で3~5万円、幕末頃には3~4千円とのこと。当時、食費はかなり安く、そば代16文(400円)くらいなので、商家、しかも寒天問屋が銀二貫も貯めると考えると、どれほど高価な金額かがわかる。(この値段は日本銀行金融研究所貨幣博物館より引用しています)
また、寒天問屋の主・和助や番頭・善次郎の商いの筋の通し方が粋。目前の利益よりも信頼やプライドを大切にし、利益のためだけではなく、目に見えない神仏感謝の気持を持つ心意気やお得意様への筋の通し方が読んでいて清々しい。今の経済では考えられない商いの仕方だが、かつての日本ではこの考え方が主流だったのだろうと考えると、感慨深い。
また、寒天に対する描写がリアルですごくたくさん調べたのだろうと思ったのだが解説を読んで納得。高田郁さんの本を書く姿勢に澪を感じた。ますます高田郁さんワールドに惚れ込みました。
[高田郁]その他感想
出世花
【みをつくし料理帖シリーズ】その他の感想
第1作 「みをつくし料理帖 (1) 八朔の雪」
第2作 「みをつくし料理帖 (2) 花散らしの雨」
第3作 「みをつくし料理帖 (3) 想い雲」
第4作 「みをつくし料理帖 (4) 今朝の春」
第5作 「みをつくし料理帖 (5) 小夜しぐれ」
信長協奏曲、第4巻。
尾張・美濃を統一し、強大になった織田軍団を率いて織田サブロー信長ついに上洛す! 天下の中心でサブローを待つ数々の強敵とは・・・!? しかし、今のサブローの隣には共に歩む盟友・明智光秀がいる! 織田信長と明智光秀―――強い秘密の絆で結ばれた二人の天下布武への旅が始まった!
裏表紙より引用
お市ちゃんの嫁入りも決まり、ついに天下への道を進み始めた織田サブロー信長。明智光秀が仲間入りし、本能寺の変で「あいださん」に殺されると間違って覚えるサブロー。あいださんじゃないから!と教えてあげたかった(笑)
腹黒い秀吉、清廉で女好きな家康、そして意外な正体となった明智光秀と読み切れない登場人物達に加え、上杉謙信の忍びが帰蝶の侍女として密に潜入中。今巻は前巻ほど衝撃的な出来事がないけれど、その分各々のキャラをじっくり読めたように思う。
足利義政を将軍に据えて動き出すサブロー。しかし初対面からズレ始めていた二人の思惑が、バテレンからの件からさらに修正不可能な方向へと導かれていく。いいタイミングで教科書を失い、今後は史実通りに沿うのか、それとも新たな歴史を紡いでいくのか。今後の展開が気になるところ。次巻が待ち遠しい!
ちなみに次巻予告
サブロー信長試練の刻!強大になった織田家は4人の軍団長を選び、本格的に天下統一へ動き出そうとしていた! だが、そんなサブローの前に予想だにしない試練が次々と襲いかかる!!さらなる衝撃が待つ第5巻は2011年夏頃発売予定!! |
カバーそでより引用
【2011年6月30日追記】
5巻の発売日は2011年8月12日だそうです。今から楽しみ!
【信長協奏曲】その他の感想
信長協奏曲(1)
信長協奏曲(2)
信長協奏曲(3)
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のんびりなので更新は遅いと思いますが、ちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。
【追記】かなり更新空いてすみません。体調不良と多忙でブログを書く気力がorz またぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします。
【追記】かなり更新空いてすみません。体調不良と多忙でブログを書く気力がorz またぼちぼち書いていくのでよろしくお願いします。
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